若年層は農業にシンパシーも。彼ら、彼女らの声をJA事業に取り込んで。

“ネタ消費”がヒット商品を生む

 これから売れる商品、ヒットのキーワードを挙げるとすれば、物を売る意識ではなく、「ネタ、アイデアを売ること」でしょう。少し前にはコーンポタージュ味のアイスキャンディーがヒットしました。「なんじゃそりゃ?」という、通常の商品からは思いつかない味を採用したこと、SNSで、お笑いでいうツッコミのような感覚が受けたのです。おいしいものが必ずしも売れる時代ではありません。こうした発想・感覚は、「高品質で多機能」の商品作りを続けてきたバブル世代やそれ以上の年代からは、まず期待できません。ぜひ、若い人からアイデアを募ってください。
 また、富裕層をターゲットに「高品質な商品を売り込む」戦略だけでは不十分です。富裕層と言われる人たちも、むしろ多くは食料品や日常生活の資材は節約しているものです。記念日――誕生日や結婚記念日、個人の思い入れのある日など――には、特別な物を買う人が増えているので、ハレのシーンに合わせて、高級食材を提案すべきなのです。

“若い世代の失敗”を許す寛容さを

 さらに、若年層には、現在60~70代の人たちが生きてきた時代に対する憧れが強いことにも、消費拡大のヒントがあると見ています。ある化粧品会社が20代を対象にした調査に同席しましたが、理想の芸能人に挙がったのは、吉永小百合さんや高倉健さん、矢沢永吉さんらで、40代、50代は上位になりませんでした。祖父母の時代は、公害とか、貧困といった問題もあったけれど、地域のつながりがあって、肩を寄せ合って未来に向かって生きていた。1つの物を大事に使ったり、野菜を余すところなく使ったり、美しい絆と節約の社会だった――と肯定的に捉えています。
 アイデンティティーを、地元、故郷に求める傾向もあります。地元の景勝地や伝統文化、農産物を多くの人に知ってもらいたいと願っていて、「この店のスイーツは、めっちゃおいしい」とSNSを使って盛んに情報発信しています。就職情報サイトによる地方大学の学生を対象にした調査では、「将来は地元で就職したい」が6割を超えていました。農業にもシンパシーを感じていて、都会の孫が田舎の祖父母のもとに行って農業を継ぐという事例もあります。こういう若い人の声をうまく農業やJAの事業に取り込んでください。地方は少子高齢化などの課題を抱えていますが、きっと良い方向に事態は動くと思います。「若いやつらは理解できない」なんて言わないで。1960年代生まれの人だって、かつては「新人類」と呼ばれていたはず。いつの時代も年配者から見れば、若い人はある意味で理解不能な存在なのです。
 最後に子どものいる中高年世代の方へ。「時代を変えたい」「誰に何を言われようがチャレンジしたい」と主張できる雰囲気がなければ、社会は活性化しません。しかし、残念ながら今の日本は、失敗の許されない空気に覆われています。ですから、普段から子どもには「失敗してもいいから。何かあったら受け止めてあげるよ」と言ってあげてください。次代をけん引する人物を生み出すためにも。

うしくぼ・めぐみ

1968年、東京都生まれ。大手出版社で5年間、編集とPR担当を経験後、フリーライターとして独立。2001年4月、マーケティングを中心に行う有限会社インフィニティを設立。得意分野は、トレンド、マーケティング、世代論、小売流通、ホテル、旅行関連。トレンド、マーケティング関連の著書多数。テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされた。

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