頑張る女性が「希望」を持てる社会にすることが、地域の持続可能性や課題解決につながります。

非営利の協同組合に期待します

 協同組合は、組合員が支え合って課題解決に取り組む組織です。しかし、組織の規模が大きくなる過程で、ビジネスの論理が強くなってしまったという反省が出ていると聞いています。協同組合に対する社会の風当たりは強くなっていますが、今こそ、原点に立ち返るべきではないでしょうか。自らのレゾンデートル(存在意義)を伝え、行動することが求められています。未来という長い時間軸で、人権や環境など社会を横断的に捉えるSDGsが、今後、新たな尺度、物差しになります。このことは、短期的な利益を追求しがちな株式会社とは異なり、協同組合にとって「追い風」になるはずです。私は、非営利の組織である協同組合に期待しています。
 国連もSDGsを推進する上で、協同組合の役割を高く評価しており、SDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」宣言には、協同組合という言葉が2度にわたり登場します。日本でも協同組合は、SDGsを実践する上で“フロントランナー”になれると思います。例えば、組合員数1,030万人のJAと2,872万人の生協が連携すれば、強い影響力が生まれます。生産者と消費者がつながることで、組合員ひとりひとりの意識が変わり、人権や環境を守る社会を未来(次世代)に引き継げるのではないかと考えています。

JAは“地域で頑張る女性”の後押しを

 日本において、「ジェンダー平等を実現しよう」(目標5)は、SDGsの「一丁目一番地」です。地方の人口減少の要因のひとつに女性のUターン率が低いことが挙げられます。都会に出た若い女性は、性別役割分担意識がまだ根強く残っている地方では、活躍(自己実現)できないと考え、戻りたがりません。ジェンダー(社会的、文化的につくられた性差)の問題は、地域の衰退や持続可能性とも深くつながっているのです。
 女性の能力を引き出し、新しいモデルをつくることが、地域の課題解決にもつながります。例えば、このような事例があります。学生服を購入する経済的な余裕のなかったシングルマザーが、学生服をリサイクルするビジネスを思いつき、起業しました。ネーム刺しゅう取りなど、手間のかかる裁縫作業を女性に委託したり、高齢者の仕事がなかなか入らず困っていた福祉作業所には、クリーニングを依頼するなど地域での連携を広げています。JAの皆さんには、このように“地域で頑張る女性”を後押しし、支援してほしいですね。
 JAには、地域を引っ張る「核」の役割を担ってもらいたいです。閉鎖的にならずに胸襟を開き、多様な人の声に耳を傾け、対話することが大事です。そこから地域の希望も生まれてくるのではないでしょうか。

くにや・ひろこ

大阪府出身。アメリカ・ブラウン大学卒業。1981年、NHKの『7時のニュース』英語放送の翻訳、アナウンスを担当。1987年からNHK・BS『ワールドニュース』『世界を読む』などのキャスターとして活躍。1993年から2016年まで『クローズアップ現代』のキャスターを務める。著書に『キャスターという仕事』(岩波新書)。2017年5月より国連食糧農業機関(FAO)の親善大使。

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