海にも優しい農業へ プラスチックを含まない液体肥料を活用 - JA新みやぎ

稲作の実証試験に着手

 JA新みやぎは、プラスチックごみによる海洋汚染を防ぐため、液体肥料を使った米づくりの実証実験を始めた。持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、環境に配慮した米の生産を推進していく。

 JAはSDGsの「目標14 海の豊かさを守ろう」の達成を目標に掲げて取り組む。

 11日、沿岸部の気仙沼市で水稲と特産「気仙沼茶豆」を栽培している階上生産組合の佐藤美千夫代表の水田90アールで田植えを行った。

 プラスチックを含まない液体肥料を専用田植え機のタンクに入れ、苗を植えると同時に肥料を投入。国、県などの関係機関や水稲農家ら約50人が見守った。

 液体肥料を2段に分けて施肥することで、追肥作業が省略できる。佐藤代表は「海まで50メートルという近さで、海洋プラスチック問題は危惧してきた。実験を通して、海を汚さずに日本の食である米を作っていきたい」と語った。

 JAの大内一也副組合長は「生産者が環境に配慮した農業を継続できるように推進していきたい」と意気込んだ。

 プラスチックの殻で覆われた従来の肥料は水と土で分解されるが、中には分解されず、そのまま河川を流れて海に流出する可能性があったため、海洋汚染の一因になると指摘されていた。

 JAは今後、生育過程などを検証し、取り組みを拡大していく予定。


<2022年 5月 18日付け  日本農業新聞  ワイド1東北>