熊本県独自水稲品種「くまさんの輝き」疎植栽培法確立へ - 熊本・JAあしきた

資材高騰でコスト低減

 JAあしきたは、資材価格の高騰に対応するため、県芦北地域振興局と連携している。2018年に本格栽培が始まった県独自水稲品種「くまさんの輝き」の疎植と播種(はしゅ)量低減栽培の研究を進める。

 疎植には一般的に、栽植密度を減らすことで育苗コストを削減しながら、茎数の増加によって収量を維持できるというメリットがある。だが稲の品種や栽培環境によって適切な株間距離は異なる。研究では、管内での「くまさんの輝き」の適切な疎植栽培法を確立することが目的だ。

 8月下旬、芦北町大川内地区の水田で現地検討会を開いた。参加した20人の水稲生産者へ、試験栽培の中間結果を報告した。

 試験栽培では同じ水田を3区域に分け、それぞれ異なる栽培方法で実験。標準、疎植、疎植および播種量減の三つの栽培方法で収量、品質を比較する。

 中間調査結果では標準栽培で1平方メートル当たりの茎数451本に対し、疎植だけの栽培では428本と減ったが、疎植と播種量減を同時に行った園では465本と増加が見られた。営農部農産課の本山佳史さんは「播種量を1割ほど減らしても、収量は同程度を維持できるようだ。病虫害も3試験園で差は見られなかった」とした。茎数が増えた代わりに稲の丈も伸びるため、根の活力を強くするなど、より慎重な倒伏対策が必要とみる。

 本山さんは「現行の栽培方法の見直しにつながる実験結果が得られた。今後は生産者の協力も得ながら試験を進め、生産コストの低減につなげたい」と述べた。


<2023年9月12日(火) 日本農業新聞 ワイド1九州>