環境に優しい農業へ 水稲種子を温湯消毒 - 新潟・JAえちご中越

病気の発生を防ぎ、農薬使用回数を削減

 JAえちご中越のさんとう地区にある寺泊育苗センター(長岡市)で2日、水稲種子の温湯消毒が始まった。3月中旬までに、主食用米「コシヒカリ」や酒造好適米、もち米など18品種の種子約10万3000キロを処理する見込み。

 温湯消毒は病気の発生を防ぎ、農薬使用回数を削減する技術。60度の湯に10分間浸水し、10度の冷水で10分間冷却。その後、脱水機で3分間脱水し、ヒーターや送風機を備えた乾燥室で24時間かけて完全に乾燥させる。

 同地区では環境に優しい農業を目指し、20年前に全国に先駆けて連続投入式温湯消毒設備を導入した。寺泊育苗センターからは、地区内全域へ温湯消毒済みの種子を供給する。

 育苗時には、微生物農薬「タフブロック」も活用し、化学農薬の散布を減らす。こうした技術の導入で農薬と化学肥料を慣行栽培より5割削減し、特別栽培米の生産に取り組んできた。特別栽培米以外でも温湯消毒を実施し、病気にかかりにくい種子の準備に努めている。

 JAさんとう北営農センターの菅沼尚貴さんは「温湯消毒は、安全・安心を求める消費者へ訴求効果が高い。昨年は老朽化した設備の一部を更新した。技術はさらに進化しているので学びながら技術刷新に努め、生産者や消費者の期待に応えたい」と話した。


<2024年2月7日(水) 日本農業新聞 ワイド1信越>