葉ニンニク特産化進む - 神奈川・JAあつぎ

鳥獣被害に強い作物として山間地を中心に作付け

 JAあつぎは鳥獣被害に強い作物として、山間地を中心に葉ニンニクの作付けを提案し、特産化への動きを強めている。現在は42人が栽培し、作付面積は約60アール。当初と比べ生産者数は3倍、作付面積は5倍になった。

 2016年から葉ニンニクの栽培に取り組む。作付けする専用品種「ハーリック」は、葉幅が広く収量性が高い特徴がある。軽量で収穫や荷造りしやすいなど、高齢化が進む地域でも栽培しやすい。鱗茎(りんけい)を肥大させる必要がないため、狭い山間部の農地でも栽培が可能だ。

 23年8月には、JAとJA全農かながわ、戸田酒店で共同開発した「葉ニンニク餃子(ぎょーざ)」が誕生した。6次産業化の動きも活発化し、認知度の向上と消費拡大につなげている。

 市内の馬場保雄さん(73)は、4年ほど前から栽培に取り組む。病害虫対策や追肥、定期的な除草の他、トンネル被覆で霜や凍結を防ぐなど丁寧な管理に努める。温暖な気候が長期間続いて生育が心配されたが、トンネル内の温度を小まめに調節するなどして順調に生育した。

 馬場さんは妻の米子さん(70)と協力して、規格外などの葉ニンニクを使った「葉ニンニクの醤油(しょうゆ)漬」も加工品として出荷する。食品ロスの削減をきっかけに取り組み始め、現在では葉ニンニクのPRや消費者への食の提案にもつながっている。

 馬場さんは「多様な料理に活用でき栄養価も高いので、多くの人に味わってほしい。今後もさらにファンが増えるよう、品質の向上と生産力の拡大に努めていきたい」と話した。


<2024年1月12日(金) 日本農業新聞 ワイド2北関東>