イタリア野菜18品目 長期安定体制を構築 - JA晴れの国岡山

通年出荷へ夏作導入

 JA晴れの国岡山のイタリア野菜研究会は、通年での多品目出荷に向け、夏場の果菜類の栽培に乗り出した。矢掛町イタリア野菜プロジェクトの取り組みで導入。日本ではなじみのない品種が多いものの、JAの営農指導員と二人三脚で栽培に試行錯誤している。秋冬栽培の葉物だけでなく、年間18品目を計画に盛り込み、体系的な出荷体制の構築を目指す。

 7月27日にはJR大阪駅みのりみのるマルシェに出店した。プロジェクトは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技会で、イタリアチームのホストタウンとして町産野菜を提供したのを契機に始まった。地中海性に似た気候が栽培に適し、アスパラガスやズッキーニなどに「味が濃い」「風味がよい」と選手団から好評を博した。

 3年前に生産者で構成する研究会を立ち上げ、町や県、JAの矢掛アグリセンターなど産官民が一体で栽培普及を進めている。今は国内のイタリア料理店を中心に直接販売する。円安や輸送コスト増大を背景に、国産志向の強まりも追い風に引き合いが強まっている。

 担当者は「飲食店が必要とする時期と数量といったニーズに合わせ、長期安定出荷ができる体制を整えていきたい」と展望する。研究会の高月周次郎会長は今夏、3品目の栽培に挑戦中だ。

 トマト「サンマルツァーノ・リゼルヴァ」「ボンジョールノ」、ナス「ビステッカ・スペリオーレ」の約100本を、営農指導員からの情報や助言を頼りに育てて出荷している。

 高月会長は「水田を活用して水稲と複合できる。収益性が高く全国的にも産地が少ないため、市場拡大が見込めそうだ」と期待を寄せる。


<2024年8月3日(土) 日本農業新聞 ワイド1中国四国>