和歌山大学で寄付講義「食と農のこれからを考える」 - 和歌山・JAわかやま

全国のJA職員不足の解消や国消国産運動の一助に

 JAわかやまが和歌山大学で開講している寄付講義「食と農のこれからを考える」で10月上旬、同JA職員が講師として登壇した。JA事業の仕組みを講義し、学生らの理解を深めた。「国消国産」の重要性も呼びかけた。

 同講義は今年で7年目。全15回で各分野の専門家が講師を務める。学生やJA職員に考える機会を与え、日本の食と農、農村に関する情勢や課題などへの理解促進、JAを担う人材育成を目指している。これまで、新規就農やJAを就職先に選ぶ受講生を輩出し続け、注目度が高まっている。

 今期は、学生363人とJA職員10人らが受講する。8日に開いた2回目の講義で、和歌山市農林水産課の山路裕雅班長とともに、同JAひがし支店の田村太成副支店長が登壇した。

 事前にJA事業や国消国産への理解度を調査したところ、ほとんどの学生が回答できなかった。結果を踏まえ、田村副支店長は、JAの概要や総合農協としての各事業を講義した。特に、消費者には目が届きにくい営農・生活事業、販売事業、購買事業をクローズアップして解説。「組織力を生かした3事業が密接に関連し、日本の食と農業を支えている」と強調した。

 日本の食料自給率が38%で食料の安全保障が揺らいでいることに警鐘を鳴らした。

 10月16日が「国消国産の日」であることにも触れ、「国産と思っている食品でも、海外産を使っている場合がある」と説明。食品を提示し「原材料名に着目することも重要。身近なところから意識を高めてほしい」と呼びかけた。

 経済学部経済学科の増田歩花さん(20)は「経済事業を知ることができ、漠然としていたJAの全体像が見えた。国消国産も応援していきたい」と感想を述べた。

 同JAの黒川秀之経済担当常務は「学生、JA職員共に、事業に対する横断的な知識を身に付けられる講義だった。全国のJA職員不足の解消や国消国産運動の一助となってほしい」と期待を込めた。


<2024年10月22日(火) 日本農業新聞 ワイド1近畿>