直売所を「行きたい」「出荷したい」場所に - 新潟・JAえちご中越

「臨店コーチング」で互いに視察し研さん

 JAえちご中越が運営する5直売所の売り上げが好調に推移している。販売高は、11月末時点で5店舗計20億3000万円を記録。前年同月比14%増と、昨年2月のJA合併から右肩上がりで順調に販売高と来店者数を伸ばしている。2024年度は、全店舗が参加する「店舗の垣根を越えた臨店コーチング」を初めて企画した。

 直売所を統括するJA直売交流課を中心に、数々の施策を打ち出してきた。各直売所を回って出荷農産物を充実させるトラック配送「ミルクラン」の導入や、共通フェアでの特産品のPRなどを企画。販売高が増えた要因の一つには、全スタッフの「行きたくなる、出荷したくなる直売所を目指す」意識改革も挙げられる。

 昨年度、5カ年計画での成長を目指す「ファン拡大! 直売所チャレンジプログラム」を策定。取り組むべき約140項目のメニューをリスト化し、課題や進捗(しんちょく)を可視化した。店舗は同課と共有し、改善策を提案する。店舗間には程よい競争心や相乗効果も生まれている。

 24年度の初企画「臨店コーチング」は他店舗を視察することで、足りない点や取り入れたい長所といった気付きを促すのが狙いだ。臨店先店舗の課題も伝えることとした。

 11月中旬の初回には11人が参加。三条市のただいまーと、柏崎市の愛菜館、長岡市のなじら~て関原店を順に回った。愛菜館では、各自の視点で1時間以上かけて店内を視察。買い物をして、入店から退店までの流れで店舗を確認する職員もいた。

 フィードバックでは、売り場や接客態度など基本事項から、「バックヤード内に、どこに何があるか図で示されていて出荷者に分かりやすい」「ポスターの張り方一つでも印象が変わるので徹底しよう」など、店外、空調やトイレの設備など細かな部分まで意見が上がった。議論は1時間を超えた。

 同課の山崎哲央課長は「固定概念が進化を阻む。同じ立場で働く職員の提言は最も効果的だと実感した。定期的に行い、他JA直売所とも連携したい」と話す。


<2024年12月13日(金) 日本農業新聞 ワイド1信越>