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国消国産こくしょうこくさん

私たちは新型コロナウイルスの感染拡大により、食料・農業について貴重な教訓を得ました。マスクの需要が急激に増加した際、その多くを輸入に頼っていたことから、国内は深刻なマスク不足に陥りました。もしそれが食料であったらどうなっていたでしょうか。
 コロナ禍において、いくつかの国が食料の輸出を制限しました。幸いにも、それらの国から日本は食料を大量に輸入していなかったので影響は出ませんでしたが、何らかの問題が発生したとき、食料の輸出入が滞る恐れのあることがわかりました。

自由貿易を否定するものではありませんし、全ての食料を国内で生産することは現実的ではありません。しかし、国民が必要とし消費する食料は、できるだけその国で生産する、「国消国産」という考え方は、食料を生産する側だけではなく、国民全体で認識共有することが重要です。

近年、日本の食料を取りまくリスクは高まっています。①食料自給率の低迷②農業生産基盤の弱体化③自然災害の頻発④世界的な人口増加⑤国際化の進展――といった5つの大きなリスクが考えられます。

第一のリスクは、食料自給率が長期に低迷していることです。政府が定めた食料自給率(カロリーベース)の目標値は2030年で45%となっていますが、2019年は38%にとどまりました。先進国の中でも極めて低い水準となっており、国民が消費する食料の約6割は輸入に頼っている状況です。

主要先進国の食料自給率

第二のリスクは、農業生産基盤の弱体化が深刻になっていることです。新規就農者は1年に約5万人いますが、農業従事者は1年に約5.6万人のペースで減少しています。さらに、農業従事者の高齢化も大きな問題です。「平成」の30年間で平均年齢は約10歳高齢化し、2025年には約7割が65歳以上になると試算されています。
 また、農地面積も50年前には580万haでしたが、2019年には440万haに減少しています。

第三のリスクは、自然災害の頻発です。国内ではその回数・被害額ともに増加し、2019年度の農林水産関係被害額は、4,883億円に上りました。日本に限らず、世界各地でも、今までにない大洪水、干ばつ、山火事、台風、熱波、暴風などが多発しています。

第四のリスクは、世界的な人口増加です。世界の人口は2019年の統計で約77億1,500万人であり、今後さらに増え続けることが予測されています。食料、そして水やエネルギーなどの需要はますます高まることが見込まれ、いずれ途上国だけではなく、日本でも食料などの不足が起こりうる懸念も否定できません。

第五のリスクは、日本農業を取り巻く国際化の急速な進展です。TPP11協定、日EU・EPA協定、日米貿易協定など、今後、国境措置は確実に引き下がっていくと想定されています。2000年から直近で、農産物輸出額は約4,000億円増加した一方、農産物輸入額は約2.7兆円増加し、輸出額の約7倍も増加しています。

こうした日本の食料を取り巻くリスクが高まっていること、そして「国消国産」の重要性を、ぜひ多くの皆さまにご理解いただき、食料を生み出す農業・農村を応援したいと思っていただける方を一人でも増やしていくことが重要だと考えています。一人ひとりの少しの行動が、日本の農業・農村、ひいては食料を守るための大きな力になります。

JAグループサイトの中で(https://agri.ja-group.jp/foodsecurity/)「国消国産」に関する情報などをご紹介しています。

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