啓翁桜で耕作放棄地対策 - JA木曽

農閑期の収入も期待

 JA木曽は2、3月の農閑期に出荷でき、耕作放棄地対策にもなる「啓翁桜」の栽培に取り組んでいる。大桑村の生産者3人が苗木から育て上げて株の養生に3年かけ、今年初めて出荷を迎えた。「啓翁桜」は早春を告げる花木として、卒業、入学などのイベント用の需要が高い。

 栽培管理技術の向上に向けては昨年12月から、長野県花き試験場の神谷勝己専門技術員による講習会を受けてきた。出荷を1週間後に控えた2月中旬には、花芽の付いた枝をビニールハウスの中で水揚げして保管する「ふかし」の講習会も行った。

 同村和村地区の田中芳男さん(70)は1月下旬に花芽の付いた枝を切り出した。通常より早く開花させるためにビニールハウスでふかした桜は、順調に成長。2月中旬に村内のJA予冷庫施設に持ち込み、他の生産者と一緒に選別や箱詰め作業を行った。

 JAの狩戸公彦技術員が指導。60~100センチまで3種類の規格ごとに、花芽や枝の状態を確認しながら10本ずつ束にして箱詰めした。250本を大阪の生花市場へ出荷した。木曽町のA・コープきそ店の直売所での出荷販売も予定している。

 狩戸技術員は「今後行政と協力して遊休農地を有効活用する中で『啓翁桜』の栽培面積拡大と合わせ、新規生産者の獲得に力を入れたい」と話した。
(2021年2月26日付 日本農業新聞ワイド2信越より)