水稲高温耐性品種「にじのきらめき」生産拡大へ - 宮城・JA新みやぎ
食味値重視し家庭用の出荷も計画
近年、夏の高温が続いていることを受け、JA新みやぎは来年度、水稲高温耐性品種「にじのきらめき」の栽培を拡大させる。本年産の約4・6倍となる作付面積600ヘクタールを目指す。同品種は現在、業務用米向けに栽培しているが、今後は食味値を重視し、家庭用での出荷も計画する。実需者との連携を深め、高温に強く多収性や耐倒伏性も備える「にじのきらめき」の販売を強化する。
「にじのきらめき」は種もみ代が「ひとめぼれ」よりやや高いものの、高温耐性などが優れ栽培しやすい。晩生種のため刈り取り時期が他品種と重複せず、作業の平準化にもメリットがある。JA管内の栗原市では本年度、生産者52人が計130ヘクタールで栽培している。
自身も栽培に取り組む栗っこ多収穫米生産部会の石川和彦部会長は「他品種が高温の影響を受ける中、にじのきらめきは高い品質に仕上がって驚いた。毎年のように高温が続く中、救世主とも言える品種」と力を込める。
「にじのきらめき」には、流通業者や実需者も熱い視線を送る。
卸売業者の住商フーズ(東京都千代田区)MD第四部の畑清政部長は2日、栗原市で開かれた研修会で生産者を前に「1000ヘクタール分の販路は確保している。安心して栽培してほしい」と強調した。
カレーチェーン「CoCo壱番屋」を運営する壱番屋(愛知県一宮市)は、東北6県の店舗で使用する米を今年7月から宮城県産「にじのきらめき」と「ひとめぼれ」のブレンドに切り替えた。同社購買部の坂田光昭部長は「将来は、にじのきらめき100%にしたい」と話す。
小売りと業務用米販売を手がける山田屋本店(東京都調布市)の秋沢毯衣専務は「にじのきらめきは安定した収量が魅力。食べる人も売る側も安心できる。消費者はJA新みやぎのブランド力を求めている」と期待を寄せた。
研修会は、JA栗っこいわでやま統括営農センターと同部会が開き、生産者ら約70人が参加した。「にじのきらめき」で作ったカレーライスを試食し、石川部会長の圃場(ほじょう)を見学した。
<2025年9月9日(火) 日本農業新聞 朝刊 ワイド2東北>
