かき殻使った土壌改良材で米栽培 - JA広島中央

循環型でSDGS実現へ

 JA広島中央は米「恋の予感」のブランド化へ、県産かき殻を使った栽培実証に乗り出した。JA全農の営農管理システム「Z―GIS」を活用した管理で技術体系を確立する。県特産カキの養殖で廃棄されるかき殻を再利用する循環型農業で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現にも貢献する。

 JAと東広島市が連携したブランド米づくりの一環。実証では、かき殻原料の土壌改良材を土づくりに使う。かき殻はカルシウムが豊富で海のミネラルや微量要素を含む。収量の安定や食味向上の他、土壌中の硫化水素を吸収して有害ガスの発生を軽減する効果も期待できる。また、水田の浄化と、川や海の水質改善にもつながる。
(2021年5月5日付  日本農業新聞ワイド2中国四国より)

 実証田は、東広島市の下三永農事組合法人と農家2戸の2・2ヘクタールに設置。4月中旬には、かき殻原料の土壌改良材を10アール当たり90キロ散布した。定期的な生育調査で、収量や食味値などのデータを分析し、品質向上の条件を検討する。法人代表の高尾昭臣組合長は「粘土質の土壌に、かき殻の効果を期待したい」と話す。

 JAは2017年に耐暑性品種の「恋の予感」を本格導入し、管内南部地域で生産を広めている。うま味成分が高く、あっさりとした味が特徴で、産直市などで消費者から人気を集めている。米の需給が緩和し、さらに新型コロナウイルス禍で米需要が減少する中、販売強化のためにも食味向上や物語性を持たせたブランドで差別化する。

 営農販売課の橋本孟治係長は「データを蓄積して技術を改良していき、ブランド化で生産者の所得向上につなげたい」と話す。
2021年5月5日付  日本農業新聞 ワイド2中国四国より)