土着天敵活用探る ミニトマト害虫対策 - JAあわ市

徳島県とJA 現場実証へ成果確認

 JAあわ市は6月下旬、徳島県農林水産総合技術支援センター(石井町)で、ミニトマト促成栽培での土着天敵「タバコカスミカメ」飼養実証ハウスを視察した。同センターは、今作から生産現場でも実証試験を行うため、これまでの成果を公開した。

 同JAでは約10年前から害虫タバココナジラミが媒介する黄化葉巻病の被害が著しく、防除体系の見直しや耐病性品種の導入が急がれている。黄化葉巻病に罹患(りかん)した株は生育が停止してしまい、発症したら回復の手だてはなく、ウイルスを媒介するコナジラミを減らすしかない難防除病害だ。

 同JAは2014年から高知県の促成ナスにならい、露地ナスでは全国で初めて大規模な試験を実施。夏秋ナス生産者にタバコカスミカメを誘引するクレオメ苗を200人以上の生産者に配布した。一定の効果が確認され、現在でも活用されている。

 しかしトマト類では、雑食性のタバコカスミカメは益虫と害虫両方の側面を持ち、コナジラミやアザミウマなどの害虫を1体1日当たり30~50匹を捕食するが、個体数が増え過ぎるとトマト本体も食害するため、本来は防除すべき存在だ。

 今回、県ではハウス内で増殖させる時期を限定し、春に温存植物を除去することで個体数をコントロールする手法を確立している。同センター資源環境研究課担当研究員の説明を受けながら実証ハウスを見学した、同JAミニトマト部会の藤本哲也部会長は「春から初夏にかけてコナジラミを抑えてくれることが実際に確認でき驚いている。コナジラミが原因で品目転換や廃業になった農家もいるので今後産地に活用できたらと思う」と期待した。


<2023年7月8日(土)付け 日本農業新聞 ワイド2四国>