有機多目的倉庫を核に有機農業を推進 - 島根・JAしまね
県産有機農産物を高付加価値販売
JAしまねは、出雲市の同JA斐川本店敷地内に建設した有機多目的倉庫の稼働を始めた。施設内には保管品目や温度帯で分けた三つの低温倉庫を整備し、県内で生産された有機農産物の保管や物流ストックポイントとして活用する。施設を核に有機農業の推進や物流対策、物流コスト削減に取り組み、県産有機農産物の高付加価値販売や生産者メリット創出につなげる。
同JAは2022年度からの第3次農業戦略実践3カ年営農計画で「みどりの食料システム戦略」を重点戦略に位置付ける。23年には「しまねの米粉・有機農業生産拡大検討プロジェクト」を立ち上げ、有機農業の推進に取り組んでいる。これまでに楽天、農業との連携協定締結や今年9月に有機野菜苗に対応可能な広域育苗施設を整備するなど、推進に向け地盤を整えてきた。
同施設は農林中央金庫のふるさと共創事業を活用し、今年6月に完成。温度帯が13~15度の根菜類専用倉庫と0~5度の葉物等短期低温倉庫、有機米専用倉庫を整備。今後はサツマイモやニンジンの長期保管、ブロッコリーや葉物野菜の物流ストックポイントとして活用する予定だ。
有機米専用倉庫は336トンの保管ができ、今年産は転換1年目の有機的管理の米を含め県内約25ヘクタールで約40トンの受け入れを計画。同施設で県内有機米を一元的に集出荷することでロットを確保し、物流費の低減や有利販売につなげ、一層の生産拡大を進めていく。
10月には、同施設の竣工(しゅんこう)式と「島根有機米」の入庫式を開いた。同JAの石川寿樹組合長は「しっかりと施設の整備ができた。これから本格的な有機農業の振興に向け、関係者の皆さんと一緒に取り組んでいきたい」と意気込んだ。
<2024年12月24日(火) 日本農業新聞 ワイド1中国四国>
