有機サツマイモの試験栽培を開始 - 茨城・JA常陸
有機質肥料の利用で持続可能な農業を推進
JA常陸は「みどりの食料システム戦略」に基づいた環境に配慮した持続可能な農業の推進に向け、ひたちなか市で、有機サツマイモの試験栽培を始めた。4月中旬には、本格的な土づくりの一つとして、微生物を添加した馬ふん堆肥を散布した。今後、有機質肥料を施用して畝立てをし、定植を進めていく。
この取り組みは、これまでJA子会社の「JA常陸アグリサポート」を中心に進めてきた有機栽培で培ったノウハウを生かし、組合員に普及させることを目的としている。
JA常陸では、2021年から、JA常陸アグリサポートで有機栽培による野菜の生産を始めた。現在、サツマイモやジャガイモ、ニンジン、大豆、水稲など合わせて10品目を13ヘクタールで栽培する。
JAでは次の段階として、農家向けに普及を図るため、ひたちなか市でサツマイモを生産する海野富男さんの圃場(ほじょう)15アールを試験圃場として設置し、昨年12月に小麦とオーツ麦を播種(はしゅ)し、4月上旬にすき込みをした。
JAは有機栽培の普及には生産者の理解が必要不可欠だと考え、実際に作業を見て、理解を深めてもらうため試験圃場を設けた。この地域では連作や、高温障害とみられる症状による収量や品質低下を危惧する農家もいることから、慣行と有機栽培の技術を併用することで生産者の不安を解消する狙いもある。
試験圃場の設置と運用に関しては、JAで本年度から地域貢献部を新設。同子会社で実務を経験した職員を配置し、ひたちなか営農経済センターの担い手に出向くJA担当者(愛称TAC)や外部の有機栽培専門家、普及センターなどが連携しサポートする。
堆肥の散布作業を見守った海野さんは「有機栽培という言葉は知っていて興味もあるが、実践するのは初めてなので不安もある。JAや専門家の指導を受けながら、ぜひとも成功させたい」と話す。
今後は有機農産物の栽培面積を拡大し、引き続き学校給食への安定供給・市場などへの販売を通じ安全・安心な農産物の販売を進めていく。
<2025年5月1日(木) 日本農業新聞 ワイド2北関東>
