JA自ら不耕作農地で農業経営に取り組む - 神奈川・JA横浜

農業経営モデルの構築と新たな担い手継承へ

 JA横浜は、人手不足などに伴い耕作できなくなる農地が拡大する中、自ら農業経営に取り組む。組合員からの相談に基づき、不耕作農地に利用権を設定して作物を栽培し、販売まで行う。農地や培った経営ノウハウ、作付け体系などは今後、新たな担い手へと承継する。

 横浜市泉区の30アールの圃場(ほじょう)では、3年前からJA職員が小麦を栽培。機械の活用で、少ない人手でも育てられる「省力化作物」のモデルケース構築を目指す。

 栽培品種は「ゆめかおり」で、昨年11月に作付けた。生育は順調で、4月下旬に出穂。梅雨入りに先立ち6月上旬に刈り取りを行い、1770キロを収穫した。小麦は加工で幅広い商品化が可能で、販路が大きく広がると期待される。

 農業経営事業は、農地法改正により一般法人が農業経営を行えるようになったのを受け、定款変更などの法的整備を行った上で、2020年に県の承認を得てスタートした。農業経営モデルの構築と担い手への承継を目的としている。

 これまで市内8カ所、合計90アールで事業に取り組み、小麦の他、高収益が期待される作物としてメロンやラッキョウなどを栽培。加工により独自商品を開発し、販路開拓などをしてきた。今年8月には、都筑区の27アールの農地が初めて担い手に承継される予定だ。

 JA営農支援課の伊藤政樹課長は「高い収益が見込める作物を栽培する一方で、限られた労働力で管理できる品目の栽培にも取り組み、投下労働力に対する収益性などの検証に当たってきた。得られた知見を生かし、新たな担い手に安心して引き継げるようにしていきたい」と話す。

<2025年6月25日(水) 日本農業新聞 ワイド1首都圏>