直売所から子ども食堂に野菜提供 - JAさがみ
出荷者の関心高く
神奈川県大和市にあるJAさがみ直売所「グリーンセンター渋谷」で、子ども食堂向け食材提供が定着してきた。市内の学習塾コガスクールが運営する子ども食堂「コアラ食堂」に、昨年11月から売り切れなかった農産物などを提供している。月2回ほどのペースで提供していて、出荷者の中には次の提供日を気にして出荷する人もいるほど、関心が高まっている。
コアラ食堂は2017年から運営がはじまった。子どもの孤食を防ぎ、保護者の悩み相談にも取り組んできた。しかし、昨年はコロナ禍で中止になったり、参加できない子どもが出たりした。そこで、古賀智恵美代表は弁当の配布を企画。「思いやり弁当」と名付け、中学生以下に配布した。
JA直売所と協力するようになったのは、古賀代表がフードロスに興味を持ったことがきっかけ。直売所で売り切れなかった農産物を、出荷者が毎日持ち帰っていることを知り、フードロス削減に結び付けることを考えた。
直売所と相談し、バックヤードに専用の回収スペースを設置。出荷者に提供を呼び掛けた。出荷者の反応は上々で、調理方法を教えてくれる人や、自家消費の農産物を届けてくれる人もいた。
回収した農産物は、提携する飲食店に運ばれ、弁当になる。直売所が提供するようになって、野菜の苦手な子どもも「野菜がおいしい」と、残さず食べるようになったという。保護者からも「JAの野菜はどこで買えるの」と尋ねられることもあり、地元農産物の良さが伝わるようになった。
古賀代表は、この弁当は多くの人に協力してもらって実現したと喜ぶ。そして「子どもたちが、地元の農産物で元気になるためにも、続けていきたい」と意気込む。JA直売所の吉野敏幸店長は、出荷者が地域の将来を担う子どもたちのことを思って提供していることに触れ、「地域貢献の一環として、JA直売所が出荷者と子どもたちの懸け橋になっているようだ」と目を細めた。(神奈川・さがみ) (日本農業新聞2021年1月22日付ワイド2首都圏より)