出向く営農活動 - JA紀南

出向く営農活動の強化

 経済事業や金融・共済事業などの「総合事業」こそがJAの特長だが、JA自己改革の最重点である農業者の所得増大、農業生産の拡大を進めるにあたって、忘れてならないのは指導事業の機能発揮だ。作目別部会の事務局をはじめ、生産履歴点検や補助事業など、広範な業務を受け持つ営農指導員であるが、いま特に強化しようとしているのは、組合員との接点を増やすことである。JA紀南は平成29年度開始の第4次中期経営計画でも「出向く営農活動の強化」を打ち出している。

経営改善へカルテを活用

 JA紀南の営農指導事業では、活動拠点として、管内に芳養谷、中央、三栖谷、富田川、大辺路の5つの営農室を設置している。本所指導部を除き、営農室では17人の指導員が活動しており、うち2人は女性である。
 営農室単位とは別に、縦割りの専門班も編成し、ミカン・晩柑などの「柑橘班」、梅・スモモなどの「落葉班」と水稲を含む「野菜・花き班」、さらに「鳥獣害対策班」がある。各専門班では、生育期間中の重要な時期や出荷前などに随時、所属の指導員が集まって調査や対策検討を行う。
 各営農室は、果樹や野菜・花きなど、地域の農業の特性を考慮し、異なる専門班に所属する指導員をバランス良く配置し、組合員の多様な相談への対応に努めている。
 一方で、指導員の業務に対して、地区懇談会などの場では「もっと農家の現場に来てほしい」との要望が聞かれる。このような農家の声を受け、また、JAが「農家の所得増大」を柱とした自己改革に取り組む中、営農指導事業では中期経営計画に取り上げた「出向く営農活動の強化」に基づき、平成30年度の計画に「訪問相談活動の充実・強化」を掲げている。

Uターン就農し平成30年産からイチゴの高設栽培を始めた山川義明さんのハウスを訪ねるJA紀南中央営農室の田ノ瀬佳男指導員(左)。山川さんも農業所得向上カルテの対象農家だ。

農業所得向上を現場重視で

 具体的には、農家への訪問活動を活発化させ、組合員との対話の機会を増やし経営改善などを図ること、経済・金融部門との連携を深め営農相談活動を充実させることである。
 指導部では、訪問活動のきっかけづくりを兼ね、指導員による「農業所得向上カルテ」を活用した農家の経営改善活動を平成30年度から始めている。初年度は、指導員1人当たり5人の農家を受け持っている。 各指導員は今年度、対象農家を訪問し、「農業所得向上カルテ」を作成済みだ。カルテによる点検項目は、栽培管理面では、品目別に気象・園地条件、施肥・樹勢維持・灌水、土づくりの実施など、経営面では後継者の有無や農地賃貸借などの生産基盤、農業融資の活用、労働力の確保、鳥獣害対策、農業共済のリスク対応などと詳細だ。
 農家への問診によるカルテ化により、農家の個別の課題が明確になる。指導員は農家と相談しながら改善のための取り組み事項を計画し、課題や問題点を解消しながら、農業所得の向上をめざしている。
 また、経営改善のための対策実施策については、改植や農機・施設導入などの補助事業や農業融資の活用提案も含んでおり、指導員も経済・金融部門と連携しての相談対応能力が求められる。
 さらに、確定申告のための農業所得決算書の収入・経費の各項目数値も把握することにより、年次ごとの経営改善成果の「見える化」もめざしている。
 現在の営農指導員の年齢は20~50代と、ベテランから技能・知識を習得中の者まで、経験年数も能力もさまざまである。指導部では、農家訪問による現場での活動を通じての指導員の育成強化をめざしており、「訪問による接点づくり活動を地道に継続して、所得向上に貢献したい」と考えている。

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