中晩柑の木熟出荷で所得拡大へ - JA紀南

かんきつ周年供給産地の柱

 かんきつ類の周年供給を掲げるJA紀南では、温州ミカンとともに中晩柑の生産・販売振興を重視する。特に温暖な立地条件を生かした木熟出荷が紀南の強みであり、年明けからの中晩柑ではポンカン、デコポン、清見、ハッサクと木熟シリーズを展開する。農業所得増大のための取り組み強化のもと、3月下旬からは「こだわりデコポン」の出荷が始まる。その中でも糖度15%をクリアした「木熟デコポン301」は最高レベルの逸品で単価も従来の「不知火」の2.8倍に達する。
 JA紀南の中晩柑は、12月の伊予柑を皮切りに、1月はポンカン、2月はデコポン、三宝柑、ネーブル、3月はハッサク、甘夏、清見、せとか、4月はセミノール、カラマンダリンと品種をつなぐ「リレー出荷」が特長だ。
 量的にも4本柱をなすポンカン、デコポン、ハッサク、清見は木熟出荷を基本とし、消費地に対して「木熟シリーズ」をアピールしている。
 出荷直前まで木に成らすことはリスクが伴う。寒波襲来による凍霜害や降雪があれば、果実の傷みや、す上がりなどの品質低下を起こし、商品価値が無くなることも覚悟しなければならない。鳥獣害に遭う危険性も増す。
 しかし「木熟の味は絶対に良い」とJAの総合選果場担当者は言い切る。寒さを受けにくい木熟に適した園地を選び、袋掛けをして木成りで収穫することは、付加価値を求めた生産方法として昔から根付いてきた。

貯蔵との差別化で有利販売

  木熟中晩柑を扱う市場からも「同じ品種でも貯蔵物とは味が違う」との評価がある。例えばポンカンは、他産地は年内に収穫、貯蔵して出荷するが、紀南は越冬させ年明けから収穫する。葉付きで出荷することで木熟を一層アピールしている。
 有利販売に向けて一歩踏み込んだのが、販売部と指導部が連携し平成22年産から取り組む「不知火」の「こだわりデコポン」栽培だ。減酸と増糖を図るため収穫を3月中旬以降とし、糖度15%以上の「木熟デコポン301」を目指すものだ。
 デコポンの出荷は、糖度13%以上、酸度1.0%以下との決まりがある。平成29年産では、「こだわりデコポン」の糖酸度を選果場で測り、「木熟デコポン」として22.5㌧、「木熟デコポン301」として7.3㌧の計29.8㌧販売した。市場価格は「不知火」と比較し、デコポンは1.5倍、「デコポン301」は2.8倍と、同一品種でも糖度による差別化が図られている。
 田辺市上秋津の志波元昭さん(63)も約5㌃で「こだわりデコポン」に参加している。雨水の入らない袋掛けやビニール被覆が参加条件であるため、志波さんは「ぶらぶらハウス」というビニールで木全体をスッポリと覆い、3月下旬からの収穫開始を待つ。「農家は少しでも有利な価格を求めており、こだわりデコポンも悪くはない。JAの新しい売り方や販路を開拓するという努力に農家は期待しているはずだ」と語る。
 JA紀南管内の中晩柑の生産量は平成29年産で約2,400㌧。JAの取扱量は約2,000㌧で近年横ばいの状態が続く。今年産は昨年末からの少雨と、大きな寒波もなかったため、全般に品質は良好で販売も堅調に推移。「近年、需給バランスがとれて価格も安定している」と販売担当者も認識している。
 産地としては生産量の確保が課題に浮かび上がっており、JAの地域農業振興・再生計画でも、2022年度までの6年間でポンカン、デコポンは1割強の増産、ハッサク、清見は現状維持を打ち出している。

糖度15%以上の「木熟デコポン301」を目指した「こだわりデコポン」栽培に取り組む志波元昭さん(田辺市上秋津)

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