スマート農業普及へRTK基地局 - JA糸島

農機自動運転の高精度化へ

 JA糸島は4月から、農業機械の自動運転機能などに利用できる「RTK基地局」を設置して運用する。基地局があると、自動操縦トラクターを動かす際に作業の誤差が約2、3センチに収まるなど高精度化が期待できる。情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業の普及につなげる。

 2020年4月、土地利用型の大規模農家とJAはスマート農機の実用性を探るため「スマート農業研究会」を発足。実証試験や検討を重ねた。その結果を踏まえて基地局を設けた。

 JA糸島施設に基地局を設置するだけでは全エリアをカバーできないことから、九州大学の協力も取り付けた。基地局の一つを同大伊都キャンパス(福岡市西区)へ備えた。JA施設4カ所との計5カ所で全域のカバーが可能となった。

 開局を間近に迎えた3月下旬、基地局開設セレモニーがあった。糸島市の月形祐二市長やJA糸島の山崎重俊組合長、生産者代表、JA関係者ら約30人が出席。トラクターや田植え機で自動運転の実演が行われた。

 山崎組合長は「組合員の高齢化で、中核的な担い手や営農組織への農地集約が進んでいる。農機の大型化とともに、作業負荷の軽減や作業時間を短縮するスマート農機の活用は、生産者の切実な願い」と指摘。「JA自己改革の一環として県と糸島市の補助事業を活用し、JAでの基地局設置に踏み切った」と語った。

 組合員の基地局利用には、ライセンス登録料1万1000円、年間利用料4万4000円が必要。農機施設課で利用を受け付ける。
(2021年4月14 日付  日本農業新聞 ワイド2九州より)