イチゴ冷凍 長期出荷で収入増へ - JA富士宮

付加価値高める

 JA富士宮経済部販売指導課と同JA苺(いちご)部会は、コロナ禍を克服し所得を高めるため、需要が増えている冷凍食品に着目。イチゴ「きらぴ香」の冷凍加工に乗り出した。JAの支援で、国の経営継続補助金を活用するとともに出荷先を確保し、同部会の佐野三男部会長と石川嘉章副部会長が急速冷凍機を導入した。2人で1・7トンを加工。7月中に出荷を始める。
 イチゴ販売のコロナ禍の影響は深刻で、同部会の2019年度(12~6月)販売額は、約4500万円で前年度比28%減、20年度は約4000万円で同11%減と厳しさを増している。

 コロナ禍で人員を削減し、収穫・出荷作業が遅れたり、販売が不調で出荷が滞ったりすれば廃棄する可能性が高まる。冷凍加工すれば、付加価値を高めると同時に出荷調整ができ、リスクを回避できる。

 5月中旬から稼働した急速冷凍機は菌の付着を防ぎつつ、食材の水分、色、風味を保ったまま、繊維を壊さず短時間で冷凍できる。

 へたを取ったイチゴを殺菌剤の次亜塩素酸で処理し、水洗いした後、庫内に入れ零下30度の冷風で50分間冷凍する。1回で10~12キロ冷凍できる。

 冷凍中の時間は、次に加工するイチゴのへたとりなどの調製作業や、次期作の育苗準備に充てることができ、作業の分散と効率化にもつなげている。

 佐野部会長は「市場出荷は5月で終わってしまうが、冷凍は長期間出荷でき収入増になる。規格にとらわれずほぼ完熟で収穫し、加工できることも強みだ」と話している。
(2021年7月13日付け  日本農業新聞ワイド1東海より)