LED防ガ灯 農薬代と労力軽減-熊本・JA熊本うき

農業電化推進コンクール優秀賞

 JA熊本うき花倶楽部(くらぶ)の発光ダイオード(LED)防蛾・防虫灯を活用した取り組みが、2023年度農業電化推進コンクールで優秀賞となった。倶楽部は全国で先駆けて、カスミソウなどの栽培にLED防ガ・防虫灯を導入。害虫被害を抑えながら農薬散布回数を低減させ、経費削減と労力軽減を実現し、安定生産へとつなげている。

 管内は全国有数の宿根カスミソウ産地だが、夜ガ類の食害に悩まされていた。19年度から忌避効果のあるLED防ガ灯を本格導入。電気代は微増したが、一番花までの農薬散布回数が平均8回から4回まで低減した。害虫被害が減ったことで、品質の低下を防ぎ、農薬代や散布労力の軽減につながった。農薬散布が半減したため、動噴使用時の燃料使用量も減少、二酸化炭素(CO2)排出量も約半分となった。

 課題は導入コストだ。1灯当たり約10万円かかり、電気工事などが必要になる場合もある。忌避効果が得られる分、そうでない場所に害虫が集中することもあり、複数の圃場(ほじょう)が集まる場所では、全ての圃場での導入が望ましい。

 西営農センター花集荷所の際田賢二さんは「今では部会の半数ほどの生産者が取り入れている。導入にコストはかかるが、費用対効果は十分に得られる」と太鼓判を押す。

 倶楽部の23年作付面積は1630アール(導入前の18年比93%)と高齢化に伴い減少傾向だが、食害による出荷ロスの減少と高品質化で販売額は5億8367万円(同134%)と増加している。 


<2024年7月3日(水)  日本農業新聞 ワイド2九州>