夢ある農業へスマート農業技術の普及に注力 - 秋田・JA秋田しんせい
低コスト、省力化、収量・品質向上に期待
JA秋田しんせいは本年度、5カ年計画「地域営農ビジョン」に基づき、低コストや省力化、収量・品質向上に向けたスマート農業技術の普及に注力している。人工衛星からの画像を基に可変施肥などを行う栽培管理システム「ザルビオフィールドマネージャー」の他、ドローン施肥の実証実験も展開。11日には、農水省とも意見交換を行った。
JAの「地域営農ビジョン」は2023年度にスタートした。「夢のある地域農業づくり」をスローガンに取り組みを進めている。
農地集積に伴う作業の遅れや、近年の高温による肥料切れが課題となる中、大規模経営体を中心に、ザルビオフィールドマネージャーの導入を進めている。
同システムは、人工衛星からの画像を基に、圃場(ほじょう)ごとの生育状況を把握して地力マップを作成し、可変施肥を行うことができる。5月までに、管内で14経営体が利用するようになった。
ドローン施肥技術の確立も目指している。4月には、にかほ市の農事組合法人、小出ファームの圃場で実証実験を行った。今後は追肥時期での可変施肥を試す。
こうした中、みどりの食料システム戦略の実現に向けた農水省の視察を受け入れ、意見交換を行った。
視察の一行は、JAの研修施設でもある、ブドウ「シャインマスカット」の根圏制御栽培ハウスと、高性能バイオ炭を投入したアスパラガスの枠板式高畝栽培ハウスを視察。JAから、研修制度によって就農希望者が増えた一方、資材価格の高騰が就農を足踏みさせている現状を報告した。
JAの佐藤茂良組合長は、新規栽培者を呼び込むための園芸ハウスのリースなどといったJAの取り組みを紹介した上で、「生産力を上げるには、スマート農業による省力化と園芸品目に取り組みやすい環境整備が必要だ。農業振興と移住・定住につながるよう取り組んでいく」と話した。
<2025年6月27日(金) 日本農業新聞 ワイド2東北>
