菌床シイタケ 全自動接種機を導入 - JA愛知東

コスト減で安価供給へ

 周年で栽培する菌床シイタケの産地力強化を目的に、JA愛知東は新城市の菌床製造施設に全自動接種機を導入した。培地となる菌床の袋の閉じ口がキャップ式からシール式(熱による圧着)に変わったことで、製造現場でのキャップの取り付け作業、生産農家ではキャップを再利用するための取り外しから洗浄までの作業がそれぞれ省略され、生産性が向上した。

 同施設では、ナラの木や米ぬかなど国産素材だけを原料とした菌床を日量最大で約1500個製造。菌床しいたけ部会では、国産の広葉樹で栽培したことを意味する「どんぐりマーク」をラベルに活用し、他産地品との差別化を図って販売している。

 機械を導入した昨秋以降、これまでに夏菌2万3600個を製造。JA担当者は「菌床の製造に携わる人員削減で生産コストを軽減し、ゆくゆくは菌床を安価で農家に供給できるようになれば」と期待を寄せる。

 現在は、部会員17戸のうち3戸が夏菌で栽培。ハウスでは、培養を終えた菌床の袋を空け、水やりなどの作業が行われている。生産者は「シール式になったことで袋を簡単に開けることができ、かさばるキャップの回収もなくなった」と作業軽減の手応えを口にする。また、菌床を覆う袋の厚みが増したことで破れ防止につながり「菌床のロスも減少しそう」だという。昨シーズンは年間16万1000菌床を製造。今シーズンは夏菌生産者が1戸増えたことで16万6000菌床の製造を計画している。JAでは、農閑期となる冬の収益作物として菌床シイタケの栽培を推奨。今後は夏菌の本格栽培も誘致し、「農業生産の拡大」「農業者の所得増大」に結び付けていく方針だ。
(2021年2月17日付 日本農業新聞ワイド1東海より)