裾野の夏ソバ 産地へと成長 - 静岡・JAふじ伊豆

品種変更、土づくり 課題克服し栽培確立

 JAふじ伊豆裾野そば部会が栽培する「あしたか山麓裾野そば」の夏ソバの栽培が確立され、面積が増加。収量も安定し、産地として順調に成長している。2022年度の栽培面積は栽培当初から7・7ヘクタール増え、約9ヘクタールで約3トン生産する。

 かつて芝の産地だった遊休農地を解消し、ソバを特産化するため、10年度から裾野市と協議を始め、12年度に部会を設立。本格的に栽培を始めた。17年度から夏ソバ栽培を始め、夏と秋の二期作により生産者の所得安定と地域農業の振興を目指してきた。

 夏ソバは台風による倒伏や、開花と登熟期の天候不順によって不良が発生しやすく、収量が低く不安定なことが課題だった。栽培当初は夏ソバの事例も少なく、生産者が播種(はしゅ)や刈り取り適期の判断が難しく、収量・面積ともに伸び悩んでいた。そこで品種を見直し、夏に適した「キタワセ」に変更。根張りを良くするため、プラウで土壌の天地返しを行い、土づくりにも努めた。

 同JA所有のコンバインを使い、部会員の労力負担を軽減した。播種や刈り取り適期は、同JAで調査・判断し、部会員へ情報共有した。その結果、順調に栽培面積が増え、収量が安定した。

 収穫したソバはJAの製粉工場で貯蔵・製粉し、直営店「五竜庵」で提供する。今年の夏ソバは8月上旬から提供を始めた。

 同部会の眞田卓八さん(59)は「夏ソバの栽培は難しいが、おいしいと言ってくれる方が多いので、期待に応えられるよう今後も収量と品質を確保したい」と話す。

 同JAすその営農経済センターの渡邊佑季課長補佐は「毎年の収量を確保するため、今後も生産者と共に栽培管理に努める」と話す。


<2023年8月11日(金) 日本農業新聞 ワイド2東海>