堆肥散布を事業化 - 秋田・JA秋田しんせい

労力やコスト減へ

 JA秋田しんせいでは、2023年度に策定した「地域営農ビジョン」に掲げる「資源循環型農業」に取り組むため、本年度から新たに堆肥散布事業をスタートした。ふん尿やもみ殻などの地域資源を活用して完熟堆肥を生産し、JAが散布作業を事業化することで、農家の労力の軽減や化学肥料、コストの低減につなげるとともに安全安心な農業を推し進めたい考えだ。

 JAでは近年、畜産や稲作などの生産基盤の拡大に伴い、ふん尿やもみ殻などの処理が課題となっていた。JAでは、23年度に県の事業などを活用し、堆肥散布機や運搬車、堆肥製品のストック庫などを整備。既に由利本荘市の西目地区でJAの担当者らが堆肥散布機で田んぼや畑、約2・5ヘクタールに堆肥を散布した。JAでは年度内にさらに散布面積を拡大する計画だ。

 また、管内の菌床シイタケのメガ団地で発生する廃菌床の処理も課題となっていることから、JAでは23年に粉砕する機械を導入。現在、粉砕した廃菌床を混ぜ込んだ完熟堆肥を生産中で、今後は成分分析などを行いながら、24年の散布を目指している。

 営農経済部の佐々木亨次長は「地域の資源が循環することで、農家のコスト低減や安心・安全な農産物の生産などにつながる。消費者にそういったエピソードを伝える、知ってもらうことで地域農業への理解を深め、持続可能な農業につなげたい」と話す。


<2024年1月5日(金) 日本農業新聞 ワイド1東北>