協同組合とは
同じ目的を持った人たちが集まり、助け合う組織
協同組合とは何でしょうか?答えは、一人ひとりでは経済的に弱い立場にある個人の農業者や漁業者、消費者、中小規模の事業者などが集まって助け合う組織です。自立した個人が連帯し、助け合うことを『相互扶助』といいますが、協同組合はこの考えを基本に運営しています。助け合いながら、共通の目的を達成するために、事業体を設立して、共同で管理・運営していきます。
協同組合はもともと、産業革命(18世紀半ば~19世紀)のころ、ヨーロッパで誕生しました。日本でも同じころ、二宮尊徳が「報徳社」、大原幽学が「先祖株組合」という農民同士が助け合う組織をつくっています。現在、協同組合は、世界各国で活発に活動し、組合員数は全世界で約10億人に上ります。
日本では農業協同組合(JA)や漁業協同組合(JF)、生活協同組合(生協)、中小企業等協同組合(中小企協)など、第一次産業から第三次産業まで幅広く組織されています。そして、さまざまな事業や活動を通じて、組合員の仕事や生活を守り向上させ、地域社会の発展にも貢献しています。
株式会社との違い
協同組合と株式会社は多くの人から出資金を得ているという点では似ています。しかし、設立の基本的な考え方や運営については、大きく異なっています。
株式会社は、できるだけ多くの利潤を上げて株主に配当することを目的にしています。運営方法は、「1株1票制」と呼ばれ、多くの株式を持つ人が支配する構造です。
それに対し、協同組合では、組合員が事業の利用者であり、同時に組合の運営者になっています。また、運営では、組合員全員が参加し、方針を決める「1人1票制」を採用しています。「組合員の、組合員による、組合員のための組織」なのです。
ユネスコの無形文化遺産に
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は2016年11月30日、「協同組合の思想と実践」を無形文化遺産に登録しました。世界規模で貧富の格差は拡大の一途をたどり、各地で紛争が絶えません。そうした中で、相互扶助の精神のもと、事業や活動を展開する協同組合は、「さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」と評価されたのです。
世界各国の協同組合が連携して問題を解決していこうと、1895年に国際協同組合同盟(ICA)が設立されました。さまざまな国や分野の協同組合が加盟しています。日本政府も「人と人が支え合い、支え合うことによって生きがいを感じられる社会を形成していくことは重要な視点であり、協同組合はその主要な担い手のひとつ」(政府広報オンライン)と、その価値を高く評価しています。

協同組合 | 株式会社 | |
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目的 | 組合員の生産と生活を守り向上させる | 利潤の追求 |
組織者 | <組合員>農業者、漁業者、森林所有者、 勤労者、消費者、中小規模の事業者 |
<株主>投資家、法人 |
事業、利用者 | 事業は根拠法で限定、利用者は組合員 | 事業は限定されない、 利用者は不特定多数の顧客 |
運営者 | 組合員 (その代表者) |
株主代理人としての専門経営者 |
運営 方法 |
1人1票制 | 1株1票制 |