以前、JAの店舗で毎日、買い物をする女性組合員から手紙をいただいた。その方は精算の際、毎回決まった女性スタッフが担当するレジの列に並んだという。女性スタッフの退職を知ったその方は「私はレジで、いつも彼女の言葉と笑顔に癒されていました。退職にあたりJAから何か御礼を差しあげてくれませんか」と感謝の気持ちを手紙にしたためてきた。
組合員を思いやる女性スタッフの真心のサービスがあったから、毎日JAに足を運んでくれたのだろう。このように「あの職員がいるからJAを利用する」と評価される、ホスピタリティ能力のある人材が求められているのだと思う。
JAの役職員は組合員のことを最優先に考えなければならない。組合員から信頼される役職員になれば、価格や金利という物差しではない価値観でJAを選んでもらえるはずだ。そうなればJAへの結集力も高まり、地域における存在感もさらに増す。人と人が結びついてできた協同組合だから、やはり起点は「人」だ。
財産となる「人財」を育て、ピンチをチャンスに変えて乗り越えていく。「一人の百歩より、百人の一歩」。これこそが協同組合の原点なのだ。
(「週刊新潮」平成30年3月1日号)