2020年9月10日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)

 はじめに、先般の台風10号で被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
 九州をはじめ広範な地域で大きな農業関係の被害が出ており、また、7月の豪雨の被災地域では、今回でさらなる被災を受けたところもあり、大変な状況です。こうした事態をきっかけとして、離農者が増加したり、生産基盤が弱体化することを非常に懸念しています。JAグループとしては、相互扶助の精神、協同の力を発揮し、被災地の要望をふまえながら、支援に全力を尽くしてまいります。
 このように大きな災害が毎年発生しているなかで、これまでの経験を活かし、防災・減災に向けた取り組みをできるだけ速やかにすすめるとともに、政府・与党に対しては原状復旧に留まらず、改良復旧などにより、災害に強い産地づくりに向けた強力な支援を求めてまいります。

 さらに、相互扶助の取り組みとして、6月の会見でご説明させていただいたとおり、JAグループでは地域医療を支える厚生連病院を守り、医療従事者が安心して業務を行える環境づくりを目的に「新型コロナウイルス感染症対策JAグループ地域医療支援募金」を6月から開始し、約2カ月間取り組んできました。
 これまでに総額100,678,831円の募金が集まりました。募金はJA全厚連を通じて、感染拡大に備えた資材の確保や、新型コロナウイルス感染症への診療対応を行っている厚生連病院への支援に充てることとしています。

 また、今回の会見から新型コロナウイルス対策として、パーテーションを設置しました。これは、同じ一次産業の協同組合組織である全国森林組合連合会・群馬県森林組合連合会に作っていただいたもので、群馬県産のスギを使用しています。これも一つの相互扶助、協同組合間連携だと思っています。
 今般のコロナ禍や災害時に改めて、相互扶助や助け合いの精神が見直されています。JAグループとしては今後も、食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として、持続可能な農業と豊かで暮らしやすい地域社会の実現を目指してまいります。

 さて、これまでも申し上げてきたように、コロナ禍の教訓としても、過度な国際化・自由化が進展するなかで、食料など国民が消費するものはその国で産出するという「国消国産」の実践をすすめてまいります。
 まずは「国消国産」の重要性を理解していただける方の輪をさらに広めていきたいと考えており、本日の会見から後ろのバックボードに「国消国産」の文字を入れました。
 あわせて、「国消国産」や協同組合の精神・実践はSDGsの達成にもつながるものと確信しており、新たにデザインしたSDGs笑味ちゃんも入れています。
 JAグループでは、生産基盤の弱体化や貿易自由化の進展などの環境変化に対し「国消国産」や食料安全保障の確立をすすめていくなかで、SDGsのうち、特に「目標2:飢餓をなくし、持続可能な農業を推進する」の分野などで貢献してまいりたいと思います。

 また、令和3年度予算概算要求に向けても、現場からの声をもとに「国消国産」に資する対策や、新型コロナウイルス対策の継続・強化など、要望をとりまとめ政府・与党に働きかけていきます。

 次に、主食用米の生産について、これまでJAグループは需要に応じた生産を強化してきましたが、これは生産者のためだけではなく米を安定供給していくことにもつながり、消費者の皆様にとってもメリットが大きいものと考えています。しかし、令和2年産米については、新型コロナウイルスなどにより需要が大きく減少しています。一方で生産面では昨年並みに主食用米を作付している傾向にあり、今後の需給が大きく緩和することを懸念しています。
 営農計画書提出期限の延期もふまえ、今後も非主食用米への作付転換など、需要に応じた生産となるよう取り組みを進めるとともに、2年産米を長期・計画的に販売することで、販売環境を整備していきたいと考えています。

 最後に、本日は「JA自己改革ニュース」をお配りしているので、ご紹介させていただきます。
 先月の就任会見でも申し上げたとおり、政府の農協改革集中推進期間は昨年5月に終了し、一定の評価をいただいたところですが、JAグループとしては引き続き、不断の自己改革に取り組んでいく必要があります。全国各地のJAが現場実態に応じて、創意工夫ある取り組みを行っていますので、今後ともこうしたものを通じて、様々な事例をご紹介させていただければと思います。

以上

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