2022年5月12日JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)
新型コロナウイルスの感染拡大、世界情勢の緊迫などにより、食料安定供給のリスクが現実のものとなっています。
輸入食品の高騰に加え、農業分野においても、燃料・原材料、配合飼料などの生産資材が高騰し、生産現場の厳しさは増しており、安定生産、営農継続に支障をきたしかねない状況になっています。
このようななか、JAグループとしては、全農を中心に肥料原料の調達先の切替えなどにより、生産資材の安定確保に全力を挙げるとともに、国内資源を有効活用しながら、生産基盤を強化し、農業生産の拡大に向けて、地域の実情に応じた創意工夫ある取り組みをすすめております。
こうしたJAグループの取り組みを、力強く後押しいただく政策の確立に向け、今月の理事会では、将来にわたる食料の安定供給の確保等に向け、「令和4年度食料・農業・地域政策の推進に向けたJAグループの政策提案」を決定しました。
先般、予備費を活用した政府の緊急対策により、肥料調達コストへの支援や配合飼料基金の積み増し等が措置されました。
直面する危機を乗り越えるため、足元ではこうした支援策などを活用し、持続可能な食料・農業基盤の確立に向け取り組んでまいります。
他方、将来にわたる食料の安定供給を確保するためには、抜本的な対策が必要です。その根幹となるのが、「食料・農業・農村基本法の見直し」と「国民理解の醸成」であると考えています。
このことから、5月13日、食料安全保障の強化を重点とした、「令和4年度 食料・農業・地域政策推進全国大会」を開催いたします。
現在、世界的に小麦などの食料価格が上昇していることをご存じの方は多いと思いますが、国内農業の実態にまで十分にご理解いただく機会が少ないと感じています。
出来る限り食料自給率を高め、国産の農畜産物を安定的に供給する体制を構築することこそが、私たちにとっての「真の食料安全保障」につながると考えています。
国民が消費する食料は自国で生産する「国消国産」の意義を、あらゆる機会をとらえて訴えてまいります。
ところで、全国各地で田植えが始まっています。JAグループでは、バケツ稲づくりセットを無償で提供しております。
バケツ稲づくりは、平成元年から始まり、今日に至るまで延べ1,000万人を超える方々に取り組んでいただいています。本年は27万セットを、希望する全国の教育機関や個人の方などにお届けしています。
特に、コロナ禍以降は、子供たちの情操教育にとても役に立っているなどの大きな反響が数多く寄せられています。
お米作りを通じて、農業に関する学習機会を提供し、ごはんを中心とした日本型食生活や国産農畜産物へ関心を高めていただくことで、「国消国産」の実践につながることを期待しています。
以上