どの国にとっても農業は最重要産業の一つで、独立した国である以上、自国民の食料はできる限り自国で賄おうという姿勢がある。JAグループなどの農業団体は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など国際貿易交渉に対して全面的に反対すると誤解をされているようだ。しかし、我々は否定しているのではない。農業分野も含め、公平に利益がある場合に検討すべきだと主張してきた。日本に限らず世界において「多様な農業の共存」が認められるべきなのだ。
この考え方に基づき、JAグループは古くから世界の農業団体と交流を続け、農業分野での国際協力などを手掛けている。
1963年に設立されたアジア農協振興機関(IDACA)は、アジア地域を中心とする政府や農協関係者に訪日研修を実施したり、開発協力事業を行ったりしてきた。研修事業はこれまでに131の国・地域から約6500人を受け入れてきた。修了者には各国の政府高官や農協組織のリーダーとして活躍している方も多く、感謝の言葉をいただいている。ちなみに、研修参加者の直近10年の上位国は、マレーシア、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアの順となっている(平成30年5月末現在)。
農業は、人の命を育む産業だ。世界中の農家が安心して農業を営み、快適な生活を送れるよう、私達もサポートしている。
(「週刊新潮」平成30年6月21日 早苗月増大号)