収穫作業に追われる中、農村では各地で秋祭りが行われる。五穀豊穣に感謝する秋祭りも、やはり農家には特別なものだ。昔は奉納相撲といって子供たちがお宮の境内の土俵で相撲をとったし、学校の授業にも相撲の時間があった。奉納相撲は子供たちだけでなく、老若男女問わず楽しみにしていた。祭りの日は学校も休みになり、地区を挙げて祭りを盛り上げ、楽しんだものだ。
収穫の喜びを地域の方々と分かち合おうと、全国のJAでもJA祭りが行われる。農協祭りとか農業祭など、呼び方はいろいろあるが、実りに感謝して地域の新鮮な農畜産物を販売したり、餅つきをしたり、その地域ならではの趣向を凝らしたイベントが行われている。家族連れにも大変喜ばれている。
私の地元、JA紀南の管内で催される祭りの中には、水産業も含めた農林水産業の祭りとして行われるところもある。第一次産業全体の祭りで、地域の恵みが手頃な価格で売られることもあり、来場者に大人気だ。この祭りは毎年、餅まきでフィナーレを飾る。祭りが最も盛り上がるときであり、地域の方々の弾ける笑顔を間近で見られるので、我々の励みにもつながっている。
ご興味があれば、ぜひお近くのJAの祭りをチェックして足を運んでいただきたい。我々と一緒に「実りの秋」「食欲の秋」を満喫してみませんか。
(「週刊新潮」平成30年11月7日号)