離島の多くは高齢化、過疎化の悩みを抱え、金融機関といえば、郵便局かJAだ。南大東島にはJAおきなわ南大東支店がある。島の金融機関としての機能を果たすほか、ガソリンスタンド、スーパーなども運営しており、JAは生活のインフラとして暮らしを支えている。JAおきなわは、北は伊平屋島、東は北大東島、南は波照間島、西は与那国島といった離島にも支店などの施設を展開している。沖縄に限らず、小笠原諸島にはJA東京島しょが、奄美群島にはJAあまみが、隠岐の島にはJAしまねがそれぞれ店舗をもっている。
私の地元である和歌山県JA紀南の管内にも紀伊大島がある。ここは昔からキンカンの産地で、JA紀南は「樫野(かしの)金柑加工場」を運営し、とれたてを現地でマーマレードやジャムなどに加工している。高齢化でキンカンの生産量も年々減っているが、我々はこれからも島の特産を守っていきたいと思う。過疎地域なので経営的に厳しくとも、そこで暮らす人がいて農業を営んでいる限り、JAは地域の人々に寄り添い、暮らしを支え続けている。これこそが協同組合の姿なのだ。
離島で農業が営まれているから、国土が保たれている。農業は食料安全保障はもとより、国土の保全、安全保障にも直結していることもぜひ知っていただきたい。
(「週刊新潮」平成30年12月6日号)