確かにEU産の乳製品やワインには長い歴史があり、その品質の高さは世界的にも評価されている。しかし、だからといって悲観はしていない。日本の農畜産物や食品も品質の高さでは負けない自信があるからだ。例えば北海道では、欧州並みに様々なチーズが作られている。ゴーダやラクレットなどの有名どころから、カチョカバロなどの珍しいものまで、多種多様な製品で市場を豊かにしている。これらの特徴はEU産と異なり、日本人好みの味に仕上げていることだ。
ワインだって負けてはいない。山梨や長野では、原料のブドウ栽培からこだわったワイン造りに懸命に取り組んでいる。世界中で和食の人気が高まっている現状からすると、和食に合う高品質の日本ワインも世界に広まる可能性を秘めているのではないか。
もちろんEPAによる農業分野への影響には万全な対策が欠かせないし、国内への安定供給も重要だが、それだけでなく、日本産の良さを国外にも積極的に発信していかねばならない。EUには国はもちろん、地域ごとに数多くの名産品があり、どれも生産者が誇りを持って生産している。そして、こうした取り組みを国民が理解し、積極的に買い支えている。
皆さんにもぜひ、日本の農家が丹精を込めて作った日本ワインと国産チーズを召し上がってほしい。
(「週刊新潮」平成31年2月7日号)