JAグループはこれまでも国際協力に取り組んできた。その一つが日・ASEAN包括的経済連携協定に基づく農協間協力だ。2012年から毎年、JAの営農指導員などをASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国に派遣し、現地の依頼を受けて研修会の開催や圃場での指導を行っている。小欄でもご紹介したJAグループの国際協力機関であるアジア農協振興機関(IDACA)も、1963年の創設以来、半世紀以上に渡ってアジア・アフリカ地域の農業担当省庁・農業団体関係者を研修生として受け入れてきた。その数は133の国と地域から約6500人にも上る。また、5月には新潟市で行われた20カ国・地域(G20)農相会合に出席したタイの農業・協同組合大臣が千葉市にあるJA千葉みらいの直売所「しょいか〜ご」を視察するなど交流が広がっている。
私は今後、JAグループが大切にしてきた価値観も世界に発信したいと思う。食料の安定供給はもちろん、助け合いで人と人をつなぐ協同組合の思いを伝えることは、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)を世界的に達成することにつながるはずだ。
折しも毎年7月の第一土曜日は国連が認定する国際協同組合デー。今年はSDGsの目標の一つである「働きがいのある人間らしい仕事」をテーマに、東京でも7月9日に記念集会を開催する。国際協力を通じ、世界中の協同組合や農家のために力を尽くしたい。
(「週刊新潮」令和元年7月11日号)