第41回 直売所で採れたてに会おう

中家徹のピンチをチャンスに!

中家徹会長によるコラム。「週刊新潮」にて2020年3月まで連載。

 JA全中は2018年、日本記念日協会に10月2日を「直売所の日」として申請し、登録された。「採れ(10)たてに(2)会おう」の語呂合わせと、2003年のこの日、JAファーマーズマーケット憲章が制定されたことに由来する。

 農林水産省の6次産業化総合調査によると、2017年度の農産物直売所の販売額は1兆790億円。調査が始まった2010年度以降、売り上げを伸ばしている。このうち、JA直売所は3307億円で全体の3割を占める。人口減少に伴って消費が縮小しても販売が堅調に推移するのは、消費者からの評価の表れだと思う。

 直売所の魅力は何と言っても収穫したばかりの新鮮な野菜や果物、花が手に入ることだ。採れたての味は格別だし、花も日持ちがいい。一般には流通しない珍しい品種に出会えることもある。商品には生産者の名前が記され、出荷する農家やスタッフから、おいしい農畜産物の見分け方、食べ方などを直接聞くこともできる。手書きのPOP(店内広告)には農家のまかないレシピなども紹介されている。加えてJA直売所の武器は、市場流通する農産物と同様に安全性を確保していること。直売所に出荷する農家で組織する部会を中心に講習会などを開いて徹底している。新鮮、おいしさと共に安全・安心もお届けしているのだ。

生産者と消費者の懸け橋に

 魅力はこれだけではない。冒頭でご紹介したJAファーマーズマーケット憲章は、直売所を「地域の食と農に関する情報を発信し、消費者と農業者の交流を図る拠点」と位置付け、JAは生産者と消費者の顔の見える関係を強める取り組みを行っている。私の地元、和歌山県JA紀南にも紀南の「紀」、野菜の「菜」、柑橘の「柑」を組み合わせ「紀菜柑」と名付けた直売所がある。梅の収穫時期に大阪方面から消費者を招いて収穫体験をした後、紀菜柑でジュースづくりを楽しんでいただくが、毎年とても好評だ。農家にも消費者の声を直接聞けるメリットがある。「おいしい」と言われたら、これこそ生産者冥利に尽きる。

 直売所を拠点に農業を身近に感じ、大切に思ってもらえれば、地元産の消費拡大はもちろん、将来、国産を選んでくれる消費者が増えると信じている。直売所は生産者と消費者をつなぐ懸け橋として、たくさんの可能性を秘めているように思う。JA直売所は全国各地に2000以上ある。ぜひお近くのJA直売所で実りの秋を満喫していただきたい。

(「週刊新潮」令和元年10月3日号)

JA紀南の直売所「紀菜柑」では、秋からのミカンシーズンになると、秋は温州、冬から春は不知火、せとか、はっさく、清見など、人気の柑橘類が揃う。
(写真提供:JA紀南)

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