令和元年も残りわずかとなった。今年は天皇陛下の皇位継承に伴い、様々な皇室行事が行われた。私もJAグループの代表として「即位礼正殿の儀」(10月22日)や「饗宴の儀」(10月31日)に参列した。
既にご承知の通り、「即位礼正殿の儀」は「即位の礼」の中心儀式で、国内外の代表が参列する中、天皇陛下が即位を公に宣言される儀式だ。あの日は台風から変わった温帯低気圧の影響で、一時は横殴りの雨が降るほどだった。しかし、儀式が始まって陛下がお出ましになった途端に雨が止み、雲の合間から青空がのぞいた。その時、私は2011年5月22日を思い出した。あの日、私の地元・和歌山県田辺市では全国植樹祭が開かれ、今の上皇さまと上皇后さまがご臨席された。私はJAグループ和歌山の副会長として参加していたが、そのときも雨だった。ところが両陛下が到着されると、空が一気に晴れ渡った。植樹祭に続き「即位礼正殿の儀」でも、私は同じような光景を目にして感慨に耽った。
もう一つの「饗宴の儀」は天皇皇后両陛下がともに祝宴に臨み、即位を披露し祝福を受けられる儀式で、今回のご即位では4日に分けて行われ、私は最終日に参列した。私が通された皇居・宮殿の豊明殿に両陛下がお出ましになると、その場がさらに厳かになり、雰囲気が変わったように感じた。両陛下は私のいた場所にも来られて、ごく短い時間だったが歓談された。
「饗宴の儀」のメニューは伝統的な和食が振る舞われていた。食材の多くは国産だと思うが、大嘗祭のお供えとして全国から届けられた品々と同じく、日本の第一次産業に携わる生産者の自信作だ。大嘗祭で使われた新米は、栃木県と京都府で栽培され、これらが神々に供える新米や酒となり、祝宴の料理にも使われる。私が参列したのは一部に過ぎないが、一連の皇室行事が日本古来の農耕文化に基づくことを深く感じた。