2018年5月10日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)
はじめに、宮崎県の霧島連山・えびの高原での噴火によって被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。今年はコメの作付けができない地域も出てきており、大変な状況だと認識しています。JAグループとしても、早急に状況を把握して対応してまいります。
ゴールデンウィークが明けて、この時期から全国各地で田植えが始まります。早場米の産地には4月から田植えが始まっているところもありますが、全国的にはゴールデンウィーク明けという時期が一番多いかと思います。私の地元の和歌山県では、この時期はウメやミカンなどの果樹の防除作業が多く、私自身も連休中には自分の園地で行いました。
さて、先日より国会審議が再スタートしました。今国会において農業分野では9つの法案が提出されています。各地の農家やJAにも影響の大きい法案ですので、しっかりとした審議をお願いしたいと考えています。また、農協改革の集中推進期間は来年5月までであり、あと一年です。JAグループとしても引き続き、「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」という基本目標に取り組んでまいります。
ところで、JAの自己改革では多様な取り組みが行われていますが、その一つに輸出への取り組みがあります。私の地元のJA紀南ではドライフルーツの工場を立ち上げ、5月から販売を開始しています。まだ取り組みは始まったばかりですが、将来的には海外への輸出も視野に入れています。
果物には、生果では輸出が難しくても、ドライフルーツにすることで輸出が可能になる地域があります。またドライフルーツは幅広く活用できるので、農業者の所得向上にもつながると考えています。
生果の輸出には障壁があります。皆様は相手国の関税が撤廃・削減されればすぐに輸出ができるというイメージをお持ちかもしれませんが、関税ではない別の障壁、いわゆる非関税障壁があります。配布資料をご覧ください。相手国の検疫が輸入を許可していなければ、輸出はできません。例えばTPP11参加国でみますと、これから最盛期のモモを輸出しようとしても、シンガポール、マレーシア、ブルネイを除く7カ国では検疫上の理由により輸出ができません。検疫制度は政府が所管しており、私達民間団体が制度変更を各国政府に働きかけることは困難です。JAグループとしては日本政府に、こうした検疫上の課題を解決していただきたいと思っています。
JAが輸出に取り組みやすいよう、全国連も様々な側面支援を行っています。例えばJA全中では、検疫などの制度的な課題が解決されるよう取り組んでいます。また、JA全農では海外に現地法人を立ち上げるなど、輸出をしやすい環境づくりに取り組んでいます。
今日は輸出についてお話しさせていただきましたが、輸出にとどまらず、農業者の所得増大につながる様々な取り組みを自己改革として、JAグループを挙げて取り組んでいるところです。
なお、中国向けの日本産精米の輸出に関しまして、昨日、精米工場2施設とくん蒸倉庫5施設が輸出可能施設に追加されました。これにつきましては、コメの輸出拡大に貢献することと捉えています。
以上、本日のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
以上