2019年11月7日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)

 先月も、相次ぐ台風や大雨などにより、全国各地で甚大な被害が発生しています。被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。農業被害に関しては、現在栽培している農作物への被害はもとより、例えば果樹であればその影響は何年にもわたるし、また農機や営農資材、さらにはJAの選果場などが水没してしまったところもあります。先日、私も宮城県と長野県へ行きましたが、目を覆いたくなるような惨状でした。復興には相当な時間がかかると感じています。
 こうした事態をきっかけとして、高齢者を中心に、離農する方が出ることを非常に心配しています。こうした部分は被害額という数字では表せないものだけに、状況を注視して、本意ではない離農者が出ないように対応してまいりたいと思います。

 農業被害があった各地のJAが、地域での暮らしや営農の復旧に向けた取り組みを行っているところですが、台風15号などで大きな被害のあった千葉県内のJAに対しては、全国各地のJAグループ役職員による「JAグループ支援隊」の派遣を行っています。
 「JAグループ支援隊」としては10月末時点の延べ人数で、全国から約300人、千葉県内から約1000人の人員を派遣しており、ビニールハウスの撤去作業など、営農復旧に向けた支援を行っているところです。また、千葉県だけでなく、台風19号で被害が発生した各県でも、県内JA間での人的・物的支援などが行われています。
 千葉県には、昨年の西日本豪雨で被害を受けた中国・四国地方や、熊本地震で被災した熊本などの各県からも、多くの役職員が駆けつけています。被災経験を持つ役職員は、地域の方々にJAが寄り添い、また地域が助け合うことの大切さを実感しています。単にJAグループ内での助け合いという枠を超えて、被災地域が一日も早く日常生活に近づけるよう取り組んでいます。
 引き続き、被災地と連携しながら万全な対策の確保と、グループの力を結集した被災地支援に全力を尽くしてまいります。

 本日の理事会では、現在議論が進められている、次期食料・農業・農村基本計画に対するJAグループの政策提案を決定しました。本日、江藤農水大臣にも要請する予定です。併せて、各品目別や、TPP等関連政策大綱が見直されることに伴う政策提案についても決定いたしました。これらはお配りしている通りですが、特に今回の基本計画改定にあたっては、近年、食や地域を取りまくリスクが高まっている現状をふまえ、食料・農業・農村基本法に掲げられている4つ基本理念である「食料の安定供給の確保」、「多面的機能の発揮」、「農業の持続的な発展」、「農村の振興」を達成しなければなりません。しかし、基本計画の状況をみると、5年前と比べても、農業や農村が抱えている課題は変わっていないと感じています。

 まずは、前回の基本計画がどのように実践されたのか総括が必要です。そして、法律の基本理念を実現し、今後も国産農畜産物の安定供給の確保と持続可能で豊かな食生活を守り続けるうえで、食料安全保障の確立が非常に重要であり、このための施策が基本計画の中心に据えられるべきだと考えています。そのためには、生産基盤となる農地・人の強化を進め、国内生産の拡大を実現すると同時に、国民の皆様に農業・農村の現状を理解し、支えたいと思っていただかなければなりません。本政策提案では、これらを達成するために強化すべき政策や、それを実践するための体制構築について言及しています。

 また、食料自給率の向上という観点からは、水田フル活用施策をしっかりと実施していくことも必要です。これらの点について、政府・与党と意見交換を行い、JAグループ内部での意思統一・結束を図るために、11月19日、「食料・農業・農村振興フォーラム」を開催することとしています。詳細は調整中ですが、追ってご案内させていただければと思います。

 そして、生産基盤の強化という観点からは、先般署名された日米貿易協定をはじめとする、国際化への対応も重要なポイントです。わが国は貿易立国であり、JAグループは貿易協定そのものには反対していませんが、わが国農業の持続可能性を損なうものであってはなりません。国内農業が影響を受ける部分については、政府・与党に働きかけを強化していくこととしていますし、これからもしっかりと対策を求めていきたいと考えています。

 さて、今月は新天皇即位に伴う大嘗祭が執り行われます。ご存じのとおり、天皇陛下が新穀を供えられて五穀豊穣を感謝され、国家・国民のために安寧などを祈念される儀式です。改めて、天皇陛下のご即位をお祝い申し上げます。皇室行事は「農」に関するものが多く、まさに農業がわが国の根幹に根ざしていること、「農は国の基」であることを感じています。僭越ながら、つつがなく行われることをご祈念申し上げます。

以上

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