2019年12月5日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)
本日は今年最後の会見ですので、平成31年・令和元年の、農業・農村・JAに関する5大ニュースをまとめました。1月の定例会見では、今年は節目の一年だと申し上げましたが、様々な節を経て、今年も最後の会見となりました。今日はこうしたニュースを紹介させていただきながら、一年を振り返りたいと思います。
まず第1位には、今年も全国各地で災害が相次いだことを選びました。九州北部豪雨、台風15号、台風19号などの災害がありましたし、CSFも依然として終息していません。被害に遭われた方々には、心よりお見舞いを申し上げるとともに、JAグループとしても一日も早い復旧・復興に尽力してまいります。第2位には、平成30年度の食料自給率が、カロリーベースで過去最低の37%となったことを、第3位には、日EU・EPAの発効や日米貿易協定の最終合意など、国際化の進展を選びました。
これまでも申し上げてきたとおり、農業生産基盤の根幹を成す人は高齢化し、農地は減少しています。持続可能な食と地域づくりにあたって、食料自給率は一つの指標ですが、生産基盤が弱体化して自給率の低迷が続くことに、大変危機感を抱いています。そうしたなかで、毎年災害が頻発しています。平成30年度の食料自給率が37%となった一因には、西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの災害もあると思います。一方で、国際化はますます進んでいます。改めて、わが国の食を取りまくリスクが実際に高まっていて、これまでのような食生活があり続ける保証はどこにも無いと強く感じているところです。
こうした「食」に関する実態を、まずは国民の皆様に知っていただき、「食」を生み出す農業や農村を「支えたい」と思っていただくことが、食料の安定供給には不可欠です。そして、農業に限らず、地方全体が疲弊していくなかで、いかに安全・安心な食を守り、豊かで暮らしやすい地域社会を実現していくか、JAグループは組織を挙げて取り組んでまいる所存です。
社会全体としては、今年は明るい出来事も多かった一年でした。お配りしている資料のタイトルに「平成から令和へ」とあるとおり、今年は新しい天皇陛下がご即位され、様々な行事がございました。先日執り行われた大嘗祭にあたっては、全国各地から様々な農林水産物が献上されました。こうした儀式に携わらせていただくことは、生産者にとって大変な栄誉であり、大きな励みになったことと思います。私自身も出席させていただきましたが、改めて皇室行事と農業の関わりの深さを感じ、まさに「農は国の基」の証左だと強く思いました。
また、ラグビーワールドカップでは、日本代表の活躍に日本中が感動しました。多くの外国の方にも日本を訪れていただき、わが国の豊かな食を楽しんでいただけたのではないかと思います。今年の流行語大賞にも選ばれましたが、ラグビーの「One Team」という考え方は、協同や連帯、多様性を大切にする、私たち協同組合の理念にも通じるものがあります。ともに協力して大きな目標を達成することの素晴らしさや尊さが、改めて評価されたのではないかと考えています。
ランキングに戻りますと、今年から始まった国連の定める「家族農業の10年」を第4位に選びました。この背景には、世界の食料生産を支える家族農業の重要性が評価されていることがあると思います。SDGsの目標2にある「飢餓を終わらせ、食料の安定確保および改善を実施し、持続可能な農業を推進する」主体にも、家族農業は掲げられています。
そして、JAグループにとっても、今年は大きな節目の年になりました。3月には第28回JA全国大会が開催され、5月には政府の定める農協改革集中推進期間が終了しました。さらに、9月30日には全中が一般社団法人に移行し、新たな一歩を踏み出しました。第28回大会では「創造的自己改革の実践」を決議しました。地域の実態をふまえた自己改革は着実に成果があがっていて、組合員からも評価をいただいているところです。これからも不断の自己改革をすすめていく所存です。
現在、食料・農業・農村基本計画の見直しも進んでいますが、「家族農業の10年」といった世界からの評価を追い風に、様々な団体などとも連携しながら、JAグループは来年も「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」にむけ、真摯に取り組みつづけてまいります。
以上