2021年3月5日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)

 3月11日で東日本大震災の発生から10年を迎えます。先月も福島県沖で最大震度6強の地震がありましたが、東日本大震災の余震だったということで、改めて震災の被害や影響の大きさを感じたところです。
 原発事故のあった福島県では、依然として農畜産物の風評被害が続いています。特に牛肉、桃、米ではそれが顕著です。今でも一度価格が下がってから、需要や価格が回復するまで時間がかかるのは福島県産です。
 農業者にとっての喜びは、自分が丹精込めて育てた農畜産物が消費者の皆様においしく味わっていただき、そして、それが適正価格で評価されることです。震災から10年が経つなかで、震災の記憶を風化させることなく、改めてJAグループは今後とも被災地の復興支援に力を入れていきます。

 さて、本日は臨時総会を開催し、来年度の事業計画や予算について、審議・承認をいただいたところです。総会では「JAグループの『不断の自己改革』の実践に関する特別決議」を行いました。引き続きグループを挙げて「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」の基本目標の実現に向けて、不断の自己改革を実践していくことを確認しました。
 JA全中といたしましては、JAグループの結集軸としての機能を発揮し、不断の自己改革のためにも、持続可能なJA経営基盤の確立・強化に取り組んでまいります。

 また、特別決議でも触れていますが、来月で改正農協法の施行から5年を迎え、政府による検討が始まります。これまでの自己改革は「JAの活動報告書」などで都度報告してきましたが、今年度の取り組みをまとめた2020年度版を本日公表しました。全国各地のJAが創意工夫ある取り組みを行っていますので、いくつかご紹介させていただければと思います。

 農林水産物の輸出は8年連続で過去最高を更新しました。JAグループでも3年前と比較して、輸出に取り組むJAは40%以上と、大幅に増加しました。これに伴い輸出額も、2019年には200億円間近まで迫っています。
 また、スマート農業に取り組むJAも大きく増加しました。今年度は約4割のJAがICTやIoTなどによるスマート農業の導入支援や活用を行い、省力化やノウハウの継承、働き方改革などに活かしています。

 農業振興だけでなく、地域の活性化にも取り組んでいます。例えば、移動購買車は年間100万人以上が利用し、地域を支える重要なインフラになっていいます。さらに、JAそお鹿児島では、移動購買車に警察官が同行し、移動交番を開設して地域安全の相談にも乗ることも行っています。また、JAが食材を提供している子ども食堂では、年間利用者が3万人を突破しました。こうしたことも、地域を支えるJAならではの活動です。

 JAグループはこれからも、こうした様々な改革に取り組み、コロナ禍にあっても「国消国産」をすすめ、食料の安定供給や地域のインフラとしての機能発揮など、社会的使命を果たしてまいります。

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