小麦で新施肥試験 基肥一発型も - JAにしみの

TACが後押し

 JAにしみのは、来年6月に収穫を迎える2021年産小麦の栽培で、新たな施肥体系を構築するための肥料の試験を始めた。
近年の暖冬に伴う肥切れに対応するため、慣行栽培より基肥の量を増やした栽培と追肥を分散させた栽培に取り組む他、生産コストの削減や労力軽減に向けて、基肥一発型の栽培に取り組む。
 同JA管内は県内最大の小麦の産地で、21年産は「さとのそら」「イワイノダイチ」の2品種を1988ヘクタールで栽培する。
  試験品種は「さとのそら」。基肥の試験では、慣行栽培で10アール当たり22キロの肥料を投入するのに対し、試験区では30キロ投入する。追肥の試験では、慣行栽培で3月上旬に1回行っていた追肥を試験区では追肥の量は変えずに、施用時期を2月中旬と3月上旬の2回に分散させる。肥効を長期間持続させ、高収量に結び付ける狙いだ。
 一方、基肥一発型の栽培は、追肥作業が不要になるため、生産コストの削減や労力の軽減を期待する。
 海津市南濃町の農事組合法人は、基肥一発型の試験に取り組む。11月上旬に播種(はしゅ)を行い、同時に基肥一発肥料をまいた。同法人の代表は「基肥一発型の栽培は、労力軽減や生産コスト削減のメリットがあるが、追肥がないため収量が確保できるか心配もある。労力・生産コスト・収量のバランスをしっかり見極めた上で導入を検討したい」と話した。
 同JA海津営農経済センターの臼井翔TAC(地域農業の担い手に出向くJA担当者=愛称タック)は「試験栽培で現在の気候や環境にあった施肥体系を確立し、農家所得の向上を後押ししていきたい」と意気込む。(日本農業新聞2020年11月25日付ワイド2東海より)