ナンテン 村の特産物へ - JAみなみ信州
遊休農地対策で 傾斜地でも管理しやすく
JAみなみ信州は、泰阜村の遊休農地が増加していることへの対策として、栽培管理が比較的容易で傾斜地でも栽培できるナンテンを導入した。JAが合同会社泰阜村営農支援センターや村、長野県と連携した事業。村内のハウスを活用し、3月中旬、播種(はしゅ)作業を行った。今後、村の特産物に育てる考えだ。
同村は総面積の86%を山林が占め、農地も山間地の傾斜地が多い。農業後継者や新規就農者が少ない中、農業者の高齢化が大きな課題となっている。
2020年12月には、JAの寺沢寿男組合長と横前明村長が出席し、地域の農業振興について連携強化へ向けて懇談をした。
導入したナンテンは傾斜地でも栽培ができ、高齢者でも栽培管理をしやすい。その一方で、苗は育成に2年かかり、入手の難しさが栽培振興の課題となっていた。
そこで、水稲を中心に農地の受け手として組織する同センターに協力を依頼。冬から春先の手が空く時期、ナンテンの育苗事業を進めることに協力を得られたことから、同事業をスタートさせた。
播種作業にはJAと同センター、村、県南信州農業農村支援センターの職員10人が参加。村内で確保した種子約2000粒を植えた。
作業を終えたJAの宮島徳男理事は「住民や他地域の人にも、泰阜村の農業に関心を持ってもらいたい。収入が得られる村の特産物にできるよう、思いを込めて作業をした。定年を迎える人にも勧めたい」と語った。
今回育苗を行った苗は来春、圃場(ほじょう)に仮植えする。30センチほどに成長した2年後の春、生産者へ配布する予定だ。
同事業は今後、通年育苗をする計画で、将来的には年間5000株を生産し、その苗で20アールずつ面積を拡大していく方針だ。
JA下条支所の木下雅夫営農課長は「村は、主要道路沿いを彩る花いっぱい運動にも取り組む。年間を通して花を楽しむという地域特性を生かして、観光にナンテンを取り入れることも視野に普及を進めたい」と話した。
(2021年4月1日付け 日本農業新聞ワイド2信越より)