津久井在来大豆振興へ 部会が検討会 - JAあつぎ

「幻の大豆」発足時の5倍に拡大

 JAあつぎ大豆部会は、「かながわブランド」に登録される津久井在来大豆の生産振興・普及に向け、取り組みを進めている。今年6月に播種(はしゅ)した津久井在来大豆は11月が収穫期になる。
 同部会は、戦後の栽培農家の減少などから希少となり、「幻の大豆」と呼ばれていた津久井在来大豆を守ろうと、2009年に発足。現在、34人の部会員が所属している。総作付面積は約7・4ヘクタールで、新規就農者らも遊休農地・耕作放棄地の解消に向けた取り組みの一環としても栽培を始め、発足時の5倍まで生産を拡大している。
 

市内小中学校に提供 おいしさつなぐ

 収穫前の現地検討会では、葉の褐色具合や莢(さや)の状態などを見ながら、収穫適期の見極め方を確認。今年は、長雨の影響で播種や生育に遅れが生じたものの、収穫に向け順調に生育している。JAの営農指導員や県農業技術センター職員は、青立株や雑草に注意して収穫するよう注意を促した他、地力維持や連作障害などの次年度に向けた対策についても周知を行い、高品質な津久井在来大豆の生産に向けて意識の共有を図った。
 収穫後は、乾燥・脱粒・調製などの工程を経て、JAへ出荷。消費者に津久井在来大豆の甘味や粒感を手軽に味わってもらえるよう、JAの6次化商品「厚木産蒸し大豆」として加工され販売する他、子どもたちに地場農産物を通じ「食」と「農」の大切さを伝えようと、市内の小中学校に津久井在来大豆の提供も行っている。
 同部会の鈴木貴会長(41)は「収穫適期の目安を確認することで、しわ粒や汚損粒などの増加による減収を防ぐことができる。次代へ津久井在来大豆の味やおいしさをつないでいけるよう、一丸となって生産に励んでいきたい」と話した。(日本農業新聞2020年11月12日付ワイド2首都圏より)