2020年12月3日 JA全中定例記者会見(中家会長挨拶)

 本日は今年最後の記者会見ですので、今年の農業・農村・JAに関する5大ニュースをまとめました。今日はこれらのニュースを紹介させていただきながら、この一年を振り返りたいと思います。
 第1位には「新型コロナウイルスにより農業にも大きな影響と教訓」を選びました。新型コロナウイルスは第三波と言われていて感染は拡大しており、依然として予断を許さない状況が続いています。改めて、新型コロナウイルスにより影響を受けられている皆様にお見舞い申し上げます。農業分野でも、幅広い品目で消費減退や価格下落が発生し、一部では今も低迷傾向が続いています。
 一方で、新型コロナウイルスは社会に教訓も残したと考えています。マスク不足は大きな問題となりましたが、これが食料だったらどうなっていたか。コロナ禍で輸出規制を行った国が実際にあるなかで、改めて、国民が消費する食料は国内で産出することが基本だという「国消国産」が重要です。
 また、三密回避の観点からも、東京一極集中から田園回帰、分散型社会への潮流が生まれてきています。コロナ禍で助け合いや相互扶助、協同の精神が見直されていることなどもあります。

 第2位は「新しい食料・農業・農村基本計画の実践がはじまる」です。基本計画策定にあたっては、私も企画部会の委員として参画しました。食料安全保障の確立が柱となるように意見してきましたが、いま改めて、私たちの食や地域をどう持続可能にしていくかが問われています。
 JAグループとしても幅広い方々と連携しながら、基本計画に掲げられた事項の達成に向けて取り組んでいく所存です。

 第3位は「豪雨やCSF、鳥インフルエンザなど災害が続く」です。昨年も台風被害やCSFが発生し、農業に大きな被害をもたらしましたが、残念ながら今年も多くの被害が起きています。
 昨今、自然災害により農作物が被害を受けることが多くなっており、気候変動を実感しています。改めて災害に強い産地づくりが求められています。JAグループとしても一日も早い復旧・復興に向け、全力を尽くしてまいります。
 鳥インフルエンザについても、現時点で15例が発生しており、憂慮しています。JAグループ一体となって、早期発見・通報の徹底や、飼養衛生管理基準の順守などを現場に注意喚起しているところです。

 第4位には「組合員調査最終結果公表、90%が総合事業を支持」を選びました。組合員調査は、平成30年から令和元年まで約1年を通じて実施し、約390万人の組合員にご回答いただきました。対話こそが協同組合運動の原点であり、調査でいただいた様々な声を受け止めて、引き続き不断の自己改革に取り組んでまいります。

 第5位は「各地のJAでユニークかつ新しい取り組みが行われる」としました。コロナ禍で様々な農畜産物が大きな影響を受けたなかで、各地のJAでは若手職員を中心に、創意工夫して消費拡大に取り組んだことは特筆すべきことです。
 例えば和牛ではクラウドファンディングを行ったり、牛乳・乳製品ではツイッターでラッシーの作り方を発信したりするなど、これまでに無かった新しい視点での取り組みが目立ちました。
 そして多くの消費者の皆様に、これらの活動を通じて、私たち農業分野も大きな影響を受けていることを知っていただき、応援していただきました。厚く感謝申し上げます。

 今年は世界的にも経済、社会、暮らしが大きな影響を受けた一年でしたが、国民の皆様にわが国の食や農業の現状を知っていただく機会となる一年でもありました。これからも情報発信強化をすすめ、農業・農村を支えたいと思っていただける方を一人でも増やしていきたいと思います。
 コロナの収束はまだ見通せませんが、JAグループは今後とも安全・安心な農畜産物の安定供給を通じて、わが国の持続可能な食と地域をつくることに貢献してまいります。

 最後に、今月も自己改革ニュースレターをお配りしています。政府の輸出戦略もまとまったところですが、今回取り上げたのはJA紀南とJA青森の事例です。輸出を通じて農業者の所得向上にも貢献している優良事例であり、我々も全農や農林中金などと緊密に連携して、オールジャパンの体制で輸出拡大に取り組んでいきます。

以上

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