国消国産
「国消国産」とは、「私たちの『国』で『消』費する食べ物は、できるだけこの『国』で生『産』する」という考え方のことで、JAグループ独自のキーメッセージです。
私たちは新型コロナウイルスの感染拡大により、食料・農業について貴重な教訓を得ました。マスクの需要が急激に増加した際、その多くを輸入に頼っていたことから、国内は深刻なマスク不足に陥りました。もしそれが食料であったらどうなっていたでしょうか。
コロナ禍において、いくつかの国が食料の輸出を制限しました。幸いにも、それらの国から日本は食料を大量に輸入していなかったので影響は出ませんでしたが、何らかの問題が発生したとき、食料の輸出入が滞る恐れのあることがわかりました。
全ての食料を国内で生産することは現実的ではありません。しかし、「国消国産」の考え方を、食料を生産する側だけではなく、国民全体で一緒に考えていくことは重要です。そこでJAグループは令和3年に国連が定める「世界食料デー」に合わせ、10月16日を「国消国産の日」として制定しました。
また、近年、日本の食料を取り巻くリスクは高まっており、以下の5つのリスクが考えられます。
第1のリスクは、食料自給率が長期にわたり低迷していることです。政府が定めた食料自給率(カロリーベース)の目標値は令和12年で45%となっていますが、令和4年は38%にとどまりました。先進国の中でも極めて低い水準となっており、国内で消費する食料の約6割は輸入に頼っている状況です。
第2のリスクは、農業生産基盤の弱体化が深刻になっていることです。農業を仕事とする農業従事者の減少にくわえて、その高齢化も大きな問題です。令和2年時点で65歳以上が約7割を占めています。また、農地面積も最大であった昭和36年からの60年間で約3割減少しました。
第3のリスクは、自然災害の頻発です。国内ではその回数・被害額ともに増加し、令和4年度の農林水産関係被害額は、2,401億円に上りました。日本に限らず、世界各地でも、今までにない大洪水、干ばつ、山火事、台風、熱波、暴風などが多発しています。
第4のリスクは、世界的な人口増加です。世界の人口は約79憶人であり、今後さらに増え続けることが予測されています。このまま増加すると、食料不足が進行することが懸念されます。
第5のリスクは、ウクライナ情勢・中東情勢などの世界情勢の緊迫化や急激な円安などによる肥料や家畜のエサ、燃料等の高騰・高止まりです。生産現場はかつてない危機的な状況に直面し、このままでは持続可能な食料生産ができない状況になりつつあります。
こうした日本の食料を取り巻くリスクが高まっていること、そして「国消国産」の重要性を、ぜひ多くの皆さまにご理解いただき、食料を生み出す農業・農村を応援したいと思っていただける方を一人でも増やしていくことが重要だと考えています。一人ひとりの少しの行動が、日本の農業・農村、ひいては食料を守るための大きな力になります。
JAグループサイトの中で(https://agri.ja-group.jp/foodsecurity/)「国消国産」に関する情報などをご紹介しています。