JAの指導事業
生産者の相談相手として、営農を支える
営農指導事業は、生産者の営農の改善と地域における総合的な農業生産力の維持・向上を図っていく重要な事業です。生産者の相談相手となって農業経営支援を行う、営農指導員が要になります。
JAの営農指導員は、単に技術指導を行うだけではなく、営農関係の情報提供や安全な農畜産物の生産指導、農作業安全確保のための取り組み、また、地域農業戦略の策定など、地域全体の産地づくりを生産者とともに行っています。さらに、近年では、環境保全型農業の推進、スマート農業の導入による省力化支援等の役割も重要になっています。
農家組合員の所得増大に向けた技術指導や経営相談を実践
営農指導員は、生産者の最も身近なアドバイザーとして営農を支えるだけでなく、「営農指導員はJAの顔」と言われるように、JAと生産者を結ぶパイプ役として重要な役割を果たしています。現在の営農指導員数は令和3年度で1万2,000人※です。営農指導事業をすすめていくために、営農指導員の体制の確立、JAグループ間の協力、行政など関係機関との連携を大切にしています。
営農指導員が担当する分野は、いずれも地域農業の振興に不可欠な「営農企画」「農業経営」「営農技術」の3領域におよびます。これらを効果的に行うために、営農指導員は品目別・地域別等の生産部会を運営し、部会指導を通じて目指す産地づくりに向けた様々な取り組みをすすめています。
また、今後の地域農業を担っていく多様な生産者のところに積極的に出向き、その意見・要望をJAにつなぐ専門の職員を「TAC(Team for Agricultural Coordination)」と呼称し、活動を強化しています。
営農指導員やTACが中心となり、担い手や法人の規模拡大・高度化に対応していくため、多くのJAでそれぞれの生産者の経営にあわせた総合的なサポートをする「農業経営支援(農業経営コンサルティング)」の取り組みもすすめています。農業経営支援とは、経営体の経営状況を把握・分析し、実態を踏まえて総合的なアドバイスを行うものです。例えば、JAが生産者の記帳代行した情報などを活用して、農業経営が改善するよう、新規品目の提案などコンサルティングを行います。
※農林水産省「令和3年度総合農協統計表」
次世代の担い手の確保
農業従事者が減少していくなか、日本の農業を持続可能なものにしていくためには、担い手を確保することが喫緊の重要課題です。そこでJAグループは、半農半Xなども含めた多様な生産者の育成に向けて、行政等関係機関と連携しながら「新規就農者支援パッケージ(募集・研修・就農・定着)」を確立しています。取り組み体制を確保するとともに、農業学校等への働きかけやWEBを活用した情報発信の強化に取り組んでいます。
また、JAは、新規就農者の地元定着をはかるため、営農指導員や組合員組織(生産者部会や青年組織等)などによる研修を終えた新規就農者のサポート体制を構築し、新規就農者が早期に経営を軌道に乗せられるように営農に関する支援などをすすめています。