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農泊

農泊

「農泊」とは、農山漁村地域に宿泊しながら郷土料理や農作業体験などを楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことです。観光客を農山漁村に呼び込むことで、地域の所得向上や移住・定住者の増加などの効果が期待されます。地域の魅力を最大限発揮するためには「宿泊」「食事」「体験」を提供する地域の関係者が一丸となって取り組むことが大切とされています。

2018年実施の観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、今回「自然体験ツアー・農漁村体験」を実施した人が6.8%にとどまる一方で、次回体験したいと答えた人は15.2%に上り、ニーズが高まっています。インバウンドの旅行消費額のうち宿泊・飲食費は約2.3兆円と全体の51%を占め、これを農山漁村のビジネスと結びつけることで経済効果も期待できます。コロナ収束後訪れたい国の上位((株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社2020年8月調査:アジア1位、欧米豪2位)でも日本が挙げられており、オリンピックも含め今から準備しておくことが必要です。また在宅等の働き方の意識改革が進む中、日本国民の過ごし方にも変化があり、地方民泊施設の利用・稼働率は上昇しており、ニーズに応える受け入れ環境整備が必要です。

国ではさまざまな対策を進めてきました。農水省は1992年、ヨーロッパでは農村に滞在しバカンスを過ごすという余暇の過ごし方が普及しているという状況を踏まえ、「新しい食料・農業・農村政策の方向」で、グリーンツーリズムの推進を提唱しました。「オーライ!ニッポン会議」が2003年に発足し、都市と農山漁村の共生・対流という国民運動が推進され、「子ども農山漁村交流プロジェクト」も2008年度に始まりました。
 しかし、現在ではプロジェクトの発足から10年がたち、受け入れる農家民宿の経営者が高齢化。地域の活性化を促すために、「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で新たな取り組みとして「農泊」の推進が提起されました。2018年の「農林水産業・地域の活力創造プラン」では、農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を500カ所つくることを目標に掲げました。

農泊発祥の地、大分県宇佐市安心院町では1996年に農泊が始まり、現在では50戸が取り組んでいます。単に農家に泊まるだけでなく、農村を丸ごと体感する旅という考えに基づき、農泊を「農家民泊」ではなく、「農村民泊」の略だとしているのが特徴で、農作業体験などを通じて旅行者が農村に住む人と交流する農泊を広めてきました。

栃木県JA佐野は、佐野観光農園「アグリタウン」を交流拠点とし農泊推進に取り組んでいます。首都圏在住者やインドネシアからの海外旅行者向けのモニターツアーでは、麦踏み体験やイチゴ狩り、伝統和紙の紙すき体験、着物体験、桜の花の観賞や餅つき体験など多彩な日本の農村の魅力を提案しました。

JA全農ではJAにおける農泊事業の確立を支援し、農泊が体験できる施設や地域の魅力を掲載したポータルサイト「農泊.net」を開設しました。
 ポータルサイトでは宿泊施設や農作業などの体験が探せる他、宿泊予約の環境整備も進めています。
 また、JAグループ関係事業連の農林中央金庫、(株)農協観光と(一社)日本ファームステイ協会で農泊事業実践協定を締結し、農泊実践を通じた地域活性化、農村・農業の振興を推進しています。
http://nohaku.net/

農泊は、農業を通じた関係人口(その地域に多様な形で関わる人たち)の拡大、「半農半X」を含む多様な働き方に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で農業現場の労働力支援、ワーケーションといった面でも注目を集めています。

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