新たな一年を迎えました。本年もよろしくお願いいたします。令和5年、最初の会見にあたり、新しい一年に向けて、「今年の一字」を選びました。令和5年、今年の一字は「収(しゅう)」にいたしました。この文字には、3つの願いを込めています。
まず一つ目は、「収束」という願いです。感染確認から3年目を迎えるコロナ禍、そして、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻については、我々の生活にも大きな影響を与えています。これら世界規模の難題の一日も早い「収束」を切に願っております。
二つ目は、日本農業の実り豊かな、「収穫」「収量」「収益」を上げたいという願いです。特に昨今、毎年のように甚大な自然災害が発生しています。今年こそは災害のない一年となり、実り豊かに「収穫」ができ、「収量」を上げてほしいと願います。また肥料、飼料など生産資材価格が高騰しているなか、価格転嫁できない厳しい状況が続いています。再生産できる持続可能な農業を目指して、生産者に「収益」をあげていただきたいと願いを込めました。
三つ目の願いは、信用事業を中心として厳しい事業環境が続いているなかで、安定的にJA事業の「収益」を上げるという願いです。JAグループが、これからも未来永劫、組合員・地域の皆さまからの期待に応え信頼される存在であり続けるためには、安定的にJA事業の「収益」を上げることが不可欠で、持続可能な経営基盤を確立していくという願いを込めました。
こうした3つの願いを、「収(しゅう)」という一字に込めました。
昨年から、肥料や飼料といった生産に欠かすことのできない資材の高騰・高止まり、さらには、こうした生産コストを農畜産物の価格に転嫁しづらいということもあり、農業経営は、危機的な状況が続いております。
一方では、食料安定確保のリスクが顕在化し、JAグループがかねてより発信しておりました「食料安全保障」への機運が高まっています。これまでJAグループが取り組んできた「国消国産」の意義等の情報発信は、非常に時機をえたものであると考えております。今後もより一層、多くの皆さまと一緒に、食と農の未来を考えていただけるよう、そして、国産の農畜産物を手に取って、選んでいただけるよう、情報発信を強化してまいります。
さて、今年は卯年であり、兎の跳躍する姿から、「飛躍」や「向上」の年だと言われております。本年が、日本農業にとって、「飛躍する一年」、あるいは「向上の一年」になることを祈念するとともに、我われJAグループは、一昨年の第29回JA全国大会で決議した「めざす姿」の実現に向け、各組織が創意工夫のもと、不断の自己改革を着実に実践してまいります。
令和5年1月12日 JA全中定例記者会見より